三島食品の「ゆかり」、脱「ふりかけ依存」で売上アップ、その戦略とは

小内三奈
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パスタ、唐揚げ…総菜コラボメニュー続々

三島食品

 クロス販売を進めるうち、「ゆかり」は総菜売場と相性がよいことがわかってきた。「メイン食材販売支援プログラム」で同社と強力にタッグを組むのが、静岡県西部を中心に展開する遠鉄ストアだ。その遠鉄ストアで、「ゆかり」を使用した三角おにぎりにオリジナルの小さな「ゆかり」シールを貼って販売したところ、女子高生の間で話題となり売上が伸びた。

 「赤しそおにぎりという定番の使われ方ではあるが、『ゆかり』のミニシールに注目が集まり、当初は2種類のシールを用意していたところ、今では5種類で展開している。さらに、『ゆかり』を使用したパスタを新たにメニュー化するなど、店舗担当者とさまざまなアイデアを出し合いながらクロス販売の工夫を続けている」

 「ゆかり」による「メイン食材販売支援プログラム」をスタートして以降、『ゆかり』以外にもラインナップが揃っていることが認知されるようになり、ちょうど発売後1年程度の新しい商品ラインナップである混ぜご飯の素「ひろし」「鮭 ひろし」の売上もアップしたという。

 「POPには『ゆかり』シリーズ8種類すべての写真が載っているので、POP効果でこれまで手にしたことのない商品を手にとってくださるお客様が増えたのだと考えている」

そもそもご飯にはかけない!海外でも売上好調な理由

 メーン食材と「ゆかり」のクロス販売に手ごたえを感じつつも、他社との競争が激しい中、同社のイベントを選んで実施してもらうのは簡単なことではない。また、現状では、POPの設置から店内の装飾までのすべてを社員総出で対応していることから、同時期にイベントが集中すると同社の社員数では対応できなくなるという課題もある。

 「数店舗でのトライアル販売で、売り方のノウハウすべてを提供し、他店や他のチェーン店に展開してもらうのが理想だと考えている」と吉本氏は話す。

 一方、足元では、「ゆかり」シリーズは海外の売上の伸び率が高く、前年比1.3倍を超えるペースで推移している。それも、米が主食ではないアメリカを中心に人気で、従来からサラダやポップコーンなどの味付けに活用されているという。

 吉本氏は「『ゆかり』シリーズの8種類はすべて、調味料としての役割を果たす。ご飯にふりかけるもの、というイメージが強い日本においてこそ、塩コショウと同じように日常的に使ってもらう調味料の位置付けになるのが目標。『ゆかり』以外のラインナップにも生鮮品や総菜のクロス販売を広げていきたい」と意気込む。

 

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