“カウンターガストロノミー”が美食界を席巻する理由とは

2024/08/02 05:57
グルメジャーナリスト 東龍
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中国料理でもカウンターの波が来る?

 では、カウンターガストロノミーに死角はないのだろうか。カウンター席にはI字型、L字型、U字型、コの字型などがあるが、いずれにしても基本的にゲストから中の様子が丸見えだ。したがって、常に整理整頓をしっかりとしておき、クリンリネスを保ち、美しい所作で調理しなければならないというプレッシャーに晒される。調理しながらゲストと会話するので、サービスの難易度もかなり高くなるのだ。

 今後の展開としては、中国料理でカウンターガストロノミーの波が訪れることが考えられる。もともと中国料理は、炒めたり揚げたり、火を上げたり鍋を振ったりと、見た目にインパクトがある。音も香りも豊かなので、パフォーマンスとしては大きなポテンシャルを秘めているジャンルだ。

 カウンターガストロノミーは、中国料理に限らず、エンターテインメント性が高い。映像や音楽とのコンビネーションによって、より記憶に残る食体験を提供することもできるだけに、今後のさらなる発展にますます期待したい。

 

プロフィール

グルメジャーナリスト 東龍
グルメジャーナリスト 東龍

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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