9月度スーパー3団体統計発表レポート 愛媛・セブンスターが掲げる「全体接客」とは?

取材・文:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

セブンスターが掲げる「全体接客」とは?

 9月度の統計発表には、セブンスターの川原誠之人財総務部部長がゲストスピーカーとして登場。AJSが主催する「スーパーマーケット・フェスティバル2025」で、「お客さま満足向上部門」と「従業員意欲向上部門」でグランプリを獲得したことに触れた。

 「お客さま満足向上部門」では、各店舗で誕生祭イベントやじゃんけん大会などを開催し、地域との交流を深めたこと、また店舗ごとにインスタグラムで情報発信を行うなど、地域住民とのコミュニケーション強化に取り組んだ点が評価された。

 「従業員意欲向上部門」では、毎月優れた販売事例を表彰・共有する制度を導入。全従業員が参加できる仕組みで、相互評価を通じて意欲向上を図り、優れた取り組みを全店舗に展開している点が評価された。

 しかし川原氏は、「受賞して終わるのではなく、ここからさらにどう行動に移すかが大切」と強調する。

 セブンスターでは、受賞後に店長・各部門長を集めて取り組みを振り返り、さらなるステップアップに向けて議論したという。川原氏は「フェスティバルで評価されたポイントを現場にどう落とし込むかを考えることが成長につながる」と話す。

 とくに注目しているのが「全体接客」の徹底だ。「全体接客」とは、セブンスターが掲げる「全従業員がお客さまと関わり、共感につながる取り組みでセブンスターのファンの輪をつくる」「店長を中心に実現させるためのサポートを全社一丸で行う」という考え方を指す。

 セルフレジの導入が進む中でも、レジ担当だけでなく全従業員が会話や困りごと対応を通じてお客さまと関わることで、店舗のファンづくりにつなげている。

 さらに川原氏は、店長を中心に全社で接客を支える重要性を指摘する。「店舗に任せきりではなく、人財総務部も含め全社で支援する体制を整えることが重要だ」と述べ、接客品質向上のための組織的な取り組みを推進している。

他店舗と合同で勉強会を実施

 こうした取り組みを進めるためセブンスターでは、従業員の主体的な行動を促す仕組みがある。川原氏は、「当社では褒める・認める・共感する3つの軸で従業員表彰制度を運用している」と説明。従業員の意欲向上を通じてお客さまの満足に直結させるねらいだ。

 また、店長の個性を生かす取り組みも重視している。川原氏は「店長は会社から任命されるが、リーダーとして周囲がついていきたいと思う存在になることが重要」と述べ、自己理解と他店長との意見交換を促す勉強会を実施。自身の強みや独自の視点を店舗運営にどう生かすかを考える機会を設けた。

 川原氏は、「店長一人ひとりが『自分の店』として責任を持ち、従業員と地域を巻き込みながら改善に取り組むことが、企業全体の成長につながる」と締めくくった。

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取材・文

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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