メディアと店舗をモバイルでつなげる新集客法で若年層との接点拡大へ

2022/07/29 16:13
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    ストーリーのある販促を。
    「埼玉県越谷市の若年層が熱狂」のワケ

    「一旦、若年世代の目にとまると情報は一気に拡散される」と岩永さんが確信したのは、22年1月に行われたベルクと明治との共同企画「ベルク×明治withラストアイドル プロテインキャンペーン」だった。明治のプロテインブランド「ザバス」もまた、若年層にいかにしてリーチすべきかが課題だった。タンパク質を補うための栄養補助食品「ザバス」と親和性が高いのではないかとの見立てで、キャスティングされたのはアイドルグループ「ラストアイドル」。ラストアイドルのメンバーは、舞台「球詠」の出演を控えており、本舞台は、埼玉県越谷市から全国高校野球大会への出場を目指す美少女たちの青春を描いたものだった。埼玉県に本部を持つベルクとの相性も良い。

    プロモーションではいくつかの仕掛けをもうけた。例えば、チラシ片面の実に2/3のスペースを使ってキャンペーンを掲載。すると、「サービスカウンターでチラシをもらってきました」。「ベルクのチラシを見てニヤニヤしている」など、Z世代から喜びの声が上がった。またメンバー6名の等身大パネルをベルク全店舗に設置。誰のパネルがどこの店舗に設置されるかは非公表としたが、客がパネルを目的に数店舗をはしごし、買い回りをするように。さらに「誰のパネルがどの店舗に設置されていた」といった情報はSNSを通してファン同士が共有することとなり、キャンペーン開始からわずか2週間でパネル位置がGoogleマップ化されたのは「驚きだった」と岩永さん。また、越谷市の3店舗限定でメンバー3名が店舗に派遣され直筆のサインをするなど、SNSで情報発信して来店誘因を促した。

    ポスター、チラシ、ウェブなどを連動させることで店舗への創客・送客力を高めた
    ポスター、チラシ、ウェブなどを連動させることで店舗への創客・送客力を高めた

    また、本企画は単にプロモーションを行うのではなく、ラストアイドルとタッグを組むことで「埼玉県民の健康を守る」という社会的意義のある取り組みでもあった。メンバーが管理栄養士からプロテイン(タンパク質)について学び、「プロテインは筋肉だけではなく骨や髪の栄養になるよ」「一緒にはじめよう。プロテイン習慣」などと栄養面についてもSNS発信することで、3週間で2000件のツイート、290万人にリーチ、Z世代へのプロテインの認知拡大に貢献した。キャンペーン終了後は、ファンからの「ベルクさん、明治さんありがとうございます」といった感謝のツイートがあふれたという。

    モノの時代は終わった。
    今後は体験・繋がりをいかに提供するか

    岩永さんは数々の成功事例を経るにつれ、「顧客が企業から受け取るものが変化しているのではないか」と考えるようになったという。時代は、「モノ」から、「体験」「繋がり」に移行しているからだ。

    例えば、スーパーマーケットで惣菜を売りたい場合、惣菜の味や品質での差別化は難しい。味に加え、顧客がわくわくする「感情価値」やプロセスを楽しむ「参加価値」を追加することで競合店との差別化となり、集客強化につながる。同社は、今後も粋でタイムリーなプロモーションを行い、販促の効率化と売上の最大化を狙っていく考えを示した。

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