生活者の健康意識とヘルス・トレンドがわかる「ウェルネストレンド白書」

2022/07/25 07:00
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    Vol.2の新たなみどころとは

     「ウェルネストレンド白書Vol.1」が21年12月に発刊されてからわずか半年後の今年5月、「同Vol.2」が刊行された。異例の早さともいえるが、武田氏によれば、「変化の多い今の時代だからこそ、年に一度の調査では間に合わない。半年に一度、調査を行うことで、より現場の変化に対応したデータを提供できる」と力を込める。

     武田氏を筆頭に、グローバルな視点をもち、日本の健康・ウェルネス市場に精通したスタッフが、仮説を立て、それを裏付ける形で調査を行い、考察しているため、市場の動向をタイムリーに反映しているのが同書の強みだ。実際、Vol.2では三大栄養素である「タンパク質」「脂質」「糖質」の志向性を深掘りしているが、背景にあるのはプロテインや糖質オフなどに対する関心の高まりだ。Vol.1にはない新たな調査・分析であり、Vol.2のみどころでもある。

    図表2 三大栄養素摂取傾向
    図表2 三大栄養素摂取傾向

     「調査をしていくと、Z世代などの若い世代はSDGsに関して強い思いがあり、サステナビリティという観点から食事や食品を選択する傾向にあることがわかります。これは欧米で進んでいたことですが、コロナ禍の影響で日本でも浸透。時代が一気に進んだことが調査結果から読み取れます」(武田氏)

     体感ではわかっていてもなかなか実証できなかったことが、同白書の中で数値化・データ化されることで明白になり、より説得性をもつというわけだ。

     また、Vol.2のもう一つのみどころとして、「トレンドワード」や「健康生活度と幸福度の相関関係」についても分析していることが挙げられる。例えば、「アダプトゲン」はメンタルフードの分野では進んでいるトレンドワードではあるものの、認知率はまだ高いとはいえない。だからこそ、今どのくらいの認知があるのか。7つの健康セグメントで認知率の差はあるのかを調査している。

    図表3 アダプトゲン認知詳細
    図表3 アダプトゲン認知詳細

     「結論から言うと、新しい情報に対して感度の高い『トレーニング大好き層』が他の健康セグメントよりも高い認知率を獲得しました。つまり、この層をうまく開拓していくことが今後のカギ。これまでは健康・ウェルネス市場といえば、シニア女性がリードしてきましたが、これからは20~30代が6割を占める『トレーニング大好き層』も着目したいところでしょう」(武田氏)

     健康セグメントという切り口があればこそわかる気づきだ。

    顧客化やファンづくりに活用できる

     今の時代を反映した調査レポートとなっている「ウェルネストレンド白書Vol.2」だが、具体的にはどのように活用すればよいのだろうか。

     「自社の顧客に対しては調査・分析していても、他社の顧客や業界全体についてはあまり関心をもたれない企業が多いようです。しかし、このノンカスタマーこそ注目すべき。どのように顧客化していくかを考えるときに、7つの健康セグメントが役立ちます」(武田氏)

     例えば、顧客の多くが70代女性という商品の場合、新規顧客獲得としていきなり40代や50代の女性をターゲットにしようと考えがちだ。しかし、それは現実的ではない。ではどうするか。

     「同じ70代でも7つの健康セグメントのどの層がとれていないのか。それを明らかにすることで、その層へのアプローチを考え、行動変容を促し、顧客化していくことができるでしょう」(武田氏)

     今回のVol.2では、各セグメントにおける健康情報源の取り方が明らかになったため、選択すべきメディアや優先順位をカスタマイズして、より有効なアプローチを検討することができるようになった。

     「健康・ウェルネス領域で事業を展開している企業や団体の方々にとって、マーケティングや商品開発などを考えていく上でのヒントとして『ウェルネストレンド白書』を使っていただきたいと思っています。今後、『ウェルネストレンド白書』はさらにブラッシュアップを続け、年内にはVol.3を刊行予定です。今、欧米の健康・ウェルネス市場では、身体に良いものを添加するのは第1世代であり、良い素材を厳選して商品化する第2世代に入っています。日本でもその兆しが見えており、Vol.3ではそうしたトレンドを深掘りするなど、現場で役に立つ調査を加えていきたいと考えています」(武田氏)

    (武田氏プロフィール)

    武田 猛

    株式会社グローバルニュートリション代表取締役
    一般社団法人ウェルネス総合研究理事

    18年間の実務経験と18年間のコンサルタント経験を積み、36年間一貫して健康食品業界でビジネスに携わり、国内外650以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置づけ、自らのビジネスを正確に位置づける」という「グローバルセンス」に基づき、先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評があり、数々のヒット商品の開発に関わる。

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