大規模な台風が猛威をふるい、重大な災害を引き起こすおそれが著しく高まっている近年。大雨の特別警報が発表された地域では、どのような消費動向が見られるのでしょうか。2022年9月、台風14号が上陸した九州地方の当時の購買データを振り返りながら、事例検証してみました。
「特別警報」がもたらす消費動向の変化
2022年9月18日19時頃、台風第14号が非常に強い勢力で鹿児島県鹿児島市付近に上陸しました。上陸時の台風の中心気圧は940hPa。気象庁が統計を開始した1951年以降、5位タイとなる低気圧でした。
当時の気象状況を振り返ると、上陸4日前の9月14日午前3時、台風14号が日本の南海上で発生。当初から予報円が西日本にかかるなど、日本列島への接近が予想され、注意が呼びかけられていました。
上陸前日の未明には、4段階ある台風の勢力レベルで最高となる「猛烈な」勢力にまで発達し、気象庁は同日21時40分、鹿児島県に暴風、波浪、高潮の特別警報を、上陸当日には宮崎県に大雨の特別警報を発表しました。
現地に住む方で「まだそれほど天気は荒れてないけど、もう特別警報発表？」と思われた方もいたのではないでしょうか。特別警報は、「すでに大荒れの天気となっていて、今後その状態が維持あるいはさらに悪化することで、甚大な災害の起こるおそれが著しく高まっている場合」に発表されることがほとんどです。
しかし、台風14号のケースでは大荒れを待たず、早めに発表されました。これは台風などを要因とする特別警報で、暴風、波浪、高潮、暴風雪の各特別警報を発表するうえでの判断基準となっています。1959年に発生し、甚大な被害をもたらした「伊勢湾台風」クラスの勢力で来襲が予想される場合に適用されるものです。過去に沖縄県で発表された実績はありますが、沖縄以外では初という、比較的まれなケースの特別警報でした。
台風14号は18日19時に鹿児島市に上陸したあと、九州地方を縦断しました。その後は海岸線を縫うようなコースで日本海南部を進み、新潟県に再上陸する直前に温帯低気圧に変わりました。この台風により宮崎県内では降り始めの雨量が1000mm近くに達し、観測史上最大の風速を観測した地点もありました。
上陸前日の時点で、西日本では広範囲にわたって公共交通機関が計画運休・欠航し、小売店でも事前に休業を決定するなどの防災対応が取られました
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