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今夏の天候予測!例年より暑い?2023年夏にすべきMD対策とは

2月21日、気象庁から今夏の天候を予測する「暖候期予報」が発表されました。暖候期予報とは、その年の夏(6月~8月)の天候予測に関してもっとも早く発表される気象庁からの公式見解です。流通に限らず、あらゆる業界でこの情報を参考に今夏の事業計画、営業計画を立てることでしょう。今回は2023年の暖候期予想を整理するとともに、流通業界におけるMD対策のポイントを解説します。

rockdrigo68/iStock

今夏は高温の可能性大!

 今季の暖候期予報の内容は以下の図のとおりです。地方名の下に記載されている数字が「平年より低くなる確率:平年並となる確率:平年より高くなる確率」を示しており、すべてを足すと100%となります。

23年の暖候期予報

 それを踏まえて下記の23年夏の降水量予測を見てみると、南西諸島(沖縄・奄美)で「30:30:40」の確率分布となっているほかはすべて「20:40:40」の確率分布になっています。つまり南西諸島は「平年並」ですが、それ以外の地方は「平年並か高め」で、猛暑の可能性があるということです。ちなみに平年より高くなる確率が50%以上の場合は、猛暑の可能性が高いという解釈となります。

今夏の降水量予測(出典:気象庁HP)

 解説資料によると、気象庁は今季の予報の根拠として以下のポイントを挙げています。
・地球温暖化の影響等により、全世界的に大気の温度が高い。
・夏前半を中心にラニーニャ現象の影響が残る。
・これらの影響により、上空の偏西風は日本付近で平年より北を流れる。

 要約すると、今年初めまで続いたラニーニャ現象の名残と中長期的な地球温暖化の影響で、シーズン前半を中心に太平洋高気圧の勢力が平年より強く、気温は高めになる可能性が高いということになります。

降水量は平年並に

 暖候期予報では、夏季の気温に加え、降水量の予想も発表されます。6~8月というと、梅雨期間も含まれるため、梅雨の傾向も推察することができます。

 下記の降水量予想図を見てみると、すべての地方において「平年より少なくなる確率:平年並の確率:平年より多くなる確率」が「30:40:3」と平年並です。つまり、極端な多雨あるいは少雨の可能性は低いと解釈することができます。多雨が予想されれば、例年より大雨災害が多くなることを予期する必要があります。少雨が予想されれば、水不足を予期して備えをするべきです。降水量が平年並ということは、現時点でこれらに対して過度に敏感になることはない、という示唆でもあります。

23年夏の気温予測(出典:気象庁HP)

暖候期予報の行間を読む

 さて、暖候期予報の解説文を目で追っただけでは見逃してしまいがちな「行間の読み方」のポイントをここで解説したいと思います。

 たとえば「猛暑の可能性がある」というと、夏の間中ずっと暑い日が続くことを連想してしまいますが、必ずしもそうではありません。上記ポイントでも触れたとおり、暖候期予報では「夏前半を中心にラニーニャ現象の影響が残る」と表現しています。日付から単純に夏を前半後半に分けるとすると、前半は6月1日~7月16日、後半は7月17日~8月31日です。盛夏期における暑さのピークは基本的に夏の後半であり、ラニーニャ現象の名残の影響も小さくなる時期に該当します。つまり、一番暑い時期の気温はおおむね平年並という解釈もできます。

 そう考えると、少なくとも8月中の残暑は、それほど厳しいものではない可能性が示唆されているのです。近年、夏は残暑が長引くことが多く、年によっては10月初めまで残暑対策が必要なこともありますが、今年の場合、残暑に対してあまり悲観的にならず、お客の関心が秋物へスムーズに移行することを期待したいところです。

今夏のMDに向けた対策とは

 夏前半は気温高めの可能性が高いことから、夏物や盛夏物の商戦は早めの展開がよさそうです。また、長梅雨の可能性もそれほど高くないことから、行楽に向けたアウトドア用品(キャンプ用品、海水浴用品など)は積極的に展開したいところです。

 屋外活動が活発になることから、熱中症患者も近年にない多さとなる懸念があるため、熱中症関連商品もしっかり売り込みましょう。さらに、気温の高い日が多いと生ごみの腐敗も早く進んでしまうため、ゴミ袋や脱臭剤なども欠品に注意が必要です。一方で、飲料水の在庫に関しては、現時点では水不足に陥る可能性が低いので、過分に品揃えしなくてもいいかもしれません。

 ラニーニャ現象による暑さのピークを過ぎた8月も、気温の高い日が多いことを想定すべきですが、先述したように残暑がそれほど厳しくないことが期待されるため、秋物季節メニューも順調に展開を増やしていきたいところです。

 8月から秋の味覚の代表として展開を強化するさまざまな商品の中でも、生鮮品は予想が難しく、産地周辺での局地的な極端気象、あるいは長期予報では状況把握が難しい台風の直撃などによって相場が大きく変動する可能性があります。そのため、加工食品の中から販促強化ターゲットを決めて展開するといいでしょう。こちらも、例年に比べるとやや早仕掛けが効果的と考えています。

 暖候期予報の発表は、年間でこの1回だけですが、今後は毎月20日前後に発表される3か月予報などで直近の天候予測情報をアップデートする作業が必要となります。今夏の気候予測に関する変化の兆しがないかを定期的に見極め、その予報内容によって適宜MD計画を最適化していきましょう。