トライアルHDが25年6月期決算を発表 注目の「トライアルGO」は東京都内で出店拡大へ

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

西友統合で営業収益は1兆3000億円超 小売業界6番手に

西友外観
西友の完全子会社化により、26年6月期の営業収益は1兆3225億円を予想。実現すれば国内小売業界で6番手に踊り出ることになる

 トライアルHDは今年7月に西友の買収を完了し、トライアルカンパニー会長の楢木野仁司氏が西友の社長に就任、新たな経営体制をスタートさせている。

 西友の業績が加わる266月期の連結営業収益は13225億円(同64.5%増)の予想で、トライアルHDによれば小売業界では6番手の規模となる見込みだ。各利益段階では、営業利益が254億円(同20.3%増)、経常利益が139億円(同37.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が5億円(同95.7%減)。織り込み済みとはいえ、西友の買収関連費用が重くのしかかり、大幅な最終減益となる見込みだ。

 事業会社2社の内訳を見ると、トライアルの営業収益は8698億円(同8.2%増)、営業利益が315億円(同49.2%増)、経常利益が322億円(同45.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が187億円(同59.1%増)の予想。積極的な出店による売上高の成長に加え、価格政策や西友との帳合の統合効果などを通じて粗利益率の向上をめざす。

 一方、西友においては、営業収益が4527億円、営業利益が114億円、経常利益が114億円、親会社株主に帰属する当期純利益が68億円を見込んでいる。先行投資により短期的な利益の減少が見込まれるものの、持続的成長に向けて顧客基盤の再構築とブランド価値向上をねらう。まずは、収益性重視だった従来の経営方針からお客の支持拡大を軸とする経営へと転換。そして、売上高の減少傾向を反転させるべく、既存店の商品の品揃えや価格の見直しを行う。

TRIAL GO外観
トライアルGOは東京都内で13店舗を出店する計画

 出店戦略については、トライアルが九州を拠点に開発・展開してきた小型店「トライアルGO」の首都圏での出店を開始する。266月期は13店舗の出店を計画し、いずれも東京都内となる予定。まず今秋に1店舗をオープンする。そのほか、メガセンター、SuCsmart合わせて25店舗を出店する。

 なお、トライアルHDは西友統合後の中長期のシナジーや投資などの定量計画をまとめた上で、262月にグループの中期経営計画を公表する予定も明らかにした。

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記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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