22年度業績は増収増益の三井食品、23年度の戦略とグループ内合併のねらいは?
新たな物流センターが稼働!
三井食品は24年3月期、物流機能の強化に取り組む。23年8月に本格稼働予定の、同社最大規模となる約4.5万坪の延床面積を有する「首都圏東物流センター」は大幅な省人化を可能にし、今後見込まれる人手不足や人件費高騰などの問題解決に寄与する。さらに24年3月期中には「イトーヨーカドーネットスーパー」の物流業務を受託する「新横浜センター」が稼働予定だ。
他社との差別化を図るため、オリジナル商品にも力を入れる。缶詰や調味料、飲料やデザートなどを販売するメインのオリジナルブランド「ハートフル畑」の強化に加え、新たに「にっぽん元気マーケット」ブランドを24年3月期中に立ち上げる。
「にっぽん元気マーケット」は、もともと東日本大震災の復興支援として東北地方のメーカー商品を全国に広めるためのブランドとして登録した商標だった。24年3月期は「にっぽん元気マーケット」をオリジナル商品のブランドとしてリニューアルし、地域共創を目的にオリジナル商品をラインアップしていく。
従来から取り組んでいる、ペルー産みかんなど付加価値の高い果実や野菜を輸入するアグリビジネスも拡大する。23年夏以降は、農業関連商材の開発・販売を行うグループ会社、三井物産アグロビジネス(東京都/小島洋之社長)から青果事業の移管を受け、集荷した産地直送野菜を小売企業へ配送する事業も開始する。
なお三井食品は2020年の組織再編以降、持株会社の三井物産流通ホールディングス(東京都/植田勲社長)にぶら下がるかたちとなっている。24年4月1日には、三井物産流通ホールディングス傘下のリテールシステムサービス(東京都/伊藤誠一社長)、ベンダーサービス(同/久保田創一社長)、物産ロジスティクスソリューションズ(同/工藤由普社長)と三井食品の4社が合併する予定だ。25年3月期から発足予定の新会社の名称は「三井物産流通グループ株式会社」(仮称)となっている。
グループ各社の業績を単純合算すると、売上高1兆4000億円、資産3200億円、従業員3150人の規模になる。組織を再編し、人材の流動的で適切な配置を行うねらいだ。
柴田社長は「持株会社に各社がぶらさがる現状の体制だと、思い切った施策をとりづらい。合併により大胆かつスピーディに動ける会社にしたい」と話す。