イオン、22年度決算を発表!GMS事業が黒字化も残された課題とは
ディベロッパー事業はコロナ前の水準に
ディベロッパー事業の営業収益は、同20.9%増の4434 億円、営業利益は同16.4%増となる452億円で増収増益だった。ベトナムをはじめとするアセアンにおける事業が好調に推移。国内においても、「ジ・アウトレット北九州」「イオンモール土岐」などの新規出店に加え、12店舗をリニューアルするなど集客力の強化に努めた結果、23年2月の既存店売上高はコロナ前の超える水準まで回復している。
総合金融事業の営業収益は同3.3%減の4568億円、営業利益は同2.4%減の603億円。減収減益に沈んだものの、国内のカードショッピング取扱高は過去最高を更新し、海外では過去最高益を記録。全セグメントで最大の営業利益を稼いでおり、イオンの全社業績のけん引役となっている。
国際事業の営業収益は同20.7%増の 4974 億円、営業利益は同129.9%増の128億円となり増収増益で着地。外出機会の拡大により、イオンベトナムやイオンマレーシアなどアセアン地区の売上が好調に推移した。
コロナ禍収束に伴い客足が回復し、ヘルス&ウエルネス事業・ディベロッパー事業、国際事業が増収増益を達成。基幹ビジネスのGMS事業は前期に若干及ばなかったものの3期ぶりに黒字転換している。
今後の課題は「収益性」
イオンが同日に発表した2024年2月期の業績見通しは、営業収益が同3.1%増/2832億円増の9兆4000億円、営業利益が同4.9%増/同103億円増の2200億円、当期純利益が14.6%増/同32億円増の250億円となっている。営業利益はコロナ前を超え、過去最高を見込む。
イオングループ最大の課題は、収益性の改善だ。売上高営業利益率は2.15%と、ライバルのセブン&アイ・ホールディングス(4.29%)と比べても大きく見劣りする。
ブレイクスルーの一助になりそうなのがプライベートブランド(PB)の充実・強化だ。物価高が進み、食品の値上げが相次ぐ中、消費者の生活防衛意識が高まっている。イベント時などは思い切って消費を行う一方で、ふだんの食卓は安く抑えるという消費スタイルが広がっている。ほとんどの品目で価格を据え置いている「トップバリュ」をはじめとしたグループPBは、そうした“賢い消費者”の受け皿となっている。言い換えれば、PBへの期待値はかつてないほどに高まっている。
一方で、正社員やパート従業員の賃上げによる人件費の戦略的積み増し、エネルギーコストの上昇など、2024年2月期はコストプッシュ要因が目白押しだ。イオングループでは、23年2月期に引き続き、24年2月期もデジタルシフト促進などによる生産性向上により、コスト抑制を図るとしている。