コスモス薬品が売上高1兆円突破! 来期はついに東北進出へ

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

来期に福島県進出!長野、新潟も出店調査を開始

 出店戦略については、25年5月期は新規出店120店舗、閉店1店舗(スクラップ&ビルドによる)を実施し、期末の店舗数は1609店舗に達した。

 昨今ではとくに、関東・中部・関西の新規エリアで出店攻勢をかけている。新規出店全体の約6割が同地域に集中し、売上高は3000億円規模にまで成長しているという。横山社長は「関東、中部、関西地区におけるプレゼンスが急激に高まっている。関東圏では北関東を中心にドミナント出店を進める」と述べると同時に、「中国、四国、九州地区もまだまだ出店していく」と語った。

 注目したいのは新規エリアへの進出についての発言だ。同社はこれまで未出店だった東北エリアへの進出を視野に入れており、横山社長によれば「福島県にはすでに出店契約済みで、来期に開店予定」だという。さらに「長野県、新潟県の出店調査を開始している」とも明かし、「ゆくゆくは全国展開」と大きな展望を語った。

 一方で、建設工事の遅延が出店ペースに影響を及ぼしている。横山社長は、現在進行中の新店建設工事が計画より遅れており、「今期(26年5月期)の年間の新規開店店舗数は100店ほどになる見込みだ」と述べた。背景には建設業界の深刻な労働力不足があり、「新規物件が見つからないのではなく、単に新築工事が遅れている」(横山社長)状況だという。

 横山社長は26年5月期の見通しについて、インフレによる商品の価格上昇が続くとした上で、「このような時だからこそ、『高品質な商品をより低価格で』販売できるようにさらなる努力を続けていく」と述べ、徹底した低価格戦略を揺るがぬ軸として継続する方針を示した。26年5月期の業績予想は、売上高が1兆570億円、営業利益が405億円、経常利益が432億円、親会社株主に帰属する当期純利益が310億円を見込む。

 横山社長は「1兆円は通過点に過ぎない。丹念に1店舗1店舗の出店を続け、しっかりと企業成長していきたい」と力強く語った。業界再編が進むドラッグストア業界においてM&A(買収・合併)に頼らず自力出店のみで成長してきたコスモス薬品。これからも”コスモス旋風”を全国で吹き荒らすことになるのか、目が離せない。

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記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

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