人口も店舗数も減少のパチンコ、小売関係者が跡地に熱視線?
小売チェーンがパチンコ跡地に熱視線?
他方、スーパーマーケットやドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売チェーンは長年にわたり出店競争を繰り広げている。とくにドラッグストアは大手・中堅ともいまだ出店意欲が旺盛で、毎年100店舗のペースで出店する企業もある。
上位チェーンは軒並みドミナント戦略を重視しており、限られた商圏に集中出店することで優位なポジションをとろうとする。そのため売上の成長ペースが鈍化したとしても、出店攻勢がストップすることもない。
そんな背景もあって、小売チェーンの多くは出店場所の確保に四苦八苦している。立地のよい物件は喉から手が出るほど欲しいのである。そうしたなか、大手小売の店舗開発部隊に注目を集めているのが、パチンコ店の跡地だ。
確かにパチンコ店は、好立地にあることが多い。これはパチンコ店に甘い、日本の建築規制も影響している。建築基準法では、カラオケボックスが営業できる場所であればパチンコ店も営業可能となっている。商店街だけでなく、準住居地域(商業施設と住宅が混在するエリア)でも認められているのである。
海外のギャンブル施設は、たいてい街はずれや場末にある。だから外国人の多くは日本のパチンコ店の存在に驚くという。「学生や家族連れも多い生活の場にギャンブル施設がある」からだ。見方を変えれば、パチンコ店の跡地は一般的な商業施設に“衣替え”可能な好立地にあるとも言える。加えて、パチンコ店の建物は一定の坪数があり、郊外店舗の場合は大規模な駐車場を設けていることが多く、小売店舗に転用しやすいとされている。パチンコ台だけを撤去したスケルトン店舗には問い合わせが殺到するという。
たとえば東京都、「渋谷」駅からすぐの場所にある「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」はは、渋谷・道玄坂にある「三善ビルディング1・0・9」というビルに出店している。このビルには元々、「パチンコマルハンタワー渋谷店」が入居していた経緯がある。
パチンコ店の跡地にオープンする新店舗の業態は立地によって異なる。大都市の駅前ならドラッグストア、コンビニ、スーパーマーケット、郊外や地方都市ならディスカウントストアや家電量販店がオープンするケースがよく見られる。
小売店でなく、温浴施設に生まれ変わるパチンコ店もある。かつて宇宙船のような建物で地元の話題を呼んだ「サンライズ本店」(大阪府東大阪市、2022年1月閉店)の跡地には、日本最大級の温浴施設「花園温泉 サウナクッカ」が7月にオープン予定だ。
このように、足元ではパチンコ店の改装、スクラップ&ビルドが行われており、この流れは今後も続くと見込まれる。次はどのパチンコ店が、どんな店舗に生まれ変わるのか。好立地にあるケースが多いだけに、店舗開発の関係者は注目しておきたいところだ。