IMF、世界成長見通し3.3%に下げ 急悪化なら協調対応必要も

2019/04/10 15:00
ロイター
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4月9日、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しで、2019年の成長見通しを3.3%増と、1月時点の見通しから0.2%ポイント引き下げた。ワシントンで8日撮影(2019年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 9日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)は9日発表した世界経済見通しで、2019年の成長見通しを3.3%とし、1月時点の見通しから0.2%ポイント引き下げた。予想通りなら成長率は16年以来の低い伸びにとどまる。

IMFは貿易摩擦のほか、英国の欧州連合(EU)離脱が混乱する可能性に言及し、成長率がさらに鈍化する恐れもあると指摘した。

主任エコノミストのギータ・ゴピナート氏は記者会見で「世界経済は微妙な時期にさしかかっている」とした上で、景気が急激に落ち込んだ場合、各国が協調して刺激策や金融緩和などの政策対応を強いられる可能性があると警告。すでに中国やドイツなどの国々では短期的な措置が求められるかもしれないとした。

見通しの引き下げは昨年10月以降で3回目となる。

20年の成長見通しは前回から改定せず3.6%だった。

19年に経済成長が鈍化する理由は、先進国の混乱が3分の2を占める。IMFは「経済活動に打撃となるような失政を避けることが優先事項だ」と強調した。

懸念される問題としては、英国がEU離脱協定案で合意できないことを挙げた。期日が迫っているにもかかわらず、英国はどのように離脱するかでまだ意見がまとまっていない。IMFは英国が合意に至る前提で見通しを算出しているが、仮に合意なき離脱となった場合は19年の世界経済の成長見通しを0.2%超引き下げる可能性があるとした。

IMFはイングランド銀行(英中銀、BOE)が金融政策に「慎重」であるべきとし、利上げを待つべきと示唆した。

ユーロ圏の19年成長見通しは1.3%で、1月の1.6%から低下。欧州の経済成長は著しく鈍化しており、ドイツの成長見通しは需要が弱含む見方や個人消費の鈍化、新たな排ガス規制による自動車売り上げの低迷が影響している。IMFは、ドイツが財政出動による景気刺激策に急転回する必要がある可能性を指摘した。欧州中央銀行(ECB)にも緩和的な政策を続けるように呼び掛けた。

日本の成長率も、一連の自然災害を受けて成長見通しを引き下げた。

先進国の中で好調と見なされている米国の経済見通しも従来の2.5%から2.3%に引き下げ。減税による景気刺激策が当初予想よりも効果を発揮していない兆候を指摘した。

米連邦準備理事会(FRB)が利上げを一時停止した判断については支持を表明。金融情勢を緩和することが今年の米国や世界経済を下支えする材料となるとした。20年の米成長見通しは0.1%ポイント引き上げ、1.9%とした。

中国の成長見通しは19年に6.3%と、前回予想から小幅に引き上げた。米中間の貿易摩擦の緊迫化を予想していたが、実際には至らなかったため。それでもなお、米国と中国やその他の貿易相手国との緊張感は続いており、世界経済のリスクとなっている。

米国が中国の輸入品に課している関税は既に中国の成長率に影響している。中国の一次産品需要に依存している中南米の国の重しにもなっている。

IMFは中国が「包括的な経済改革の妨げとなるような短期的な急減速を避けるために」景気刺激策を導入する必要がある可能性にも言及した。

 

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