米小売業の返品受付額は8兆7000億円以上、業界団体が推計発表
全米小売業協会(NRF)の発表によると、米小売業が2021年に販売した商品のうち7610億ドル(約8兆7000億円)以上が消費者から返品されると予想される。これは、同年の米小売売上高の16.6%に当たる。
NRFと小売業向けにSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)ソリューションを提供するアプリシス・リテールが共同調査した推計を1月25日に発表した。小売業全体の20年の返品率は10.6%だったが、21年はそこから6ポイント上昇することになる。
この結果についてNRFの調査分析担当バイス・プレジデント、マーク・マシューズ氏は、「パンデミック(感染症の世界的大流行)期間中に消費需要が盛り上がったことを考えると、返品率の上昇に驚きはない」としている。
返品率は店頭販売よりオンライン販売のほうが高く、21年のオンライン販売の返品率は20.8%、金額にして2180億ドルの商品が返品されると見込まれる。その10.6%に当たる232億ドルが不正な返品だという。オンライン販売の返品率自体はこの数年、大きく変わっていない。
商品カテゴリー別に見て返品率が高いのは、自動車部品(19.4%)、アパレル(12.2%)、DIY商品と室内用品(ともに11.5%)となっている。
クリスマス商戦で販売された商品は、ギフトとして受け取った人が返品するため、特に返品率が高くなる傾向がある。NRFの推計では、21年11月から12月の小売業売上高は前年同期比11.5%増の8870億ドルだったが、このうち17.8%に当たる1580億ドルが返品されると見られる。
アプリシス・リテールのスティーブ・プレブルCEO(最高経営責任者)は、「小売業は返品をコストとして捉えるのではなく、消費者とのつながりを深める機会と見るべきだ」と語っている。