面と点で変わる マーケティング・マネジメント・モデルの中身

楢村 文信(StratModel)
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初回はこれからの変化を乗り越えるうえで、マーケティング・マネジメント・モデルが重要であり、欧米の大手小売業ではオペレーションの基本となっている話をした。

 最初に触れておきたいことが、モデル化に影響する「組織小売業としてのフォーマット展開の方向性」である。ここで言うフォーマットとは、どういった顧客に対してどういったサービスや便益を提供するかというコンセプトである。

テスコ外観
IT進化の結果、欧州では「面から点へのトランスフォーメーション」が先に進行した
(写真はイメージ、georgeclerk/iStock)

環境要因が生み出した異なる展開方法

 フォーマットについては別の機会に整理するが、まずフォーマット展開の考え方は2つに大別できる。

 1)標準フォーマットの店を、そのフォーマットが受け入れられる商圏に展開していくという考え方。単純化すれば、同じ店舗サイズ・導線、同じ品揃え、同じ価格レンジを、似たような立地・顧客層がいる場所に展開するという方法である。

 2)もう1つは、出店場所に合うようにフォーマットの派生型を作っていく方法である。

 この違いによって、マーケティング展開を1)は面で行うこととなり、2)は点で行うことになり、自ずと分析、戦略立案、そして打ち手も異なってくる。

 さらに加えるなら、前者の「面展開」は出店エリアもサプライチェーンの効率を考え地域を集約するケースが多くなる。この地域集約は顧客へのコミュニケーション戦略も規定する。「点展開」の場合は、商圏や立地の特性に合わせた個店対応が必要になる。

 以上はアカデミックな整理であり、現実には混在している。面展開が基軸であっても、個別の商圏に応じた販促を展開したり、周年催事など個々の店の企画を実施したりするケースもある。点展開でもレイアウトや棚割りが異なるなかで、統一企画での販促展開は行われる。

 どちらも良し悪しがあり、現実は

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