QBハウスの「FaSS」が「ニュウマン高輪」に出店 さらなるブランド価値向上ねらう

取材・文:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

大規模開発と連動した出店

 今回の出店は、「QB HOUSE」のこれまでの出店実績を背景に実現したものだ。同社は全店舗のうち約4分の1が駅構内に立地しており、JR東日本(東京都/喜㔟陽一社長)との取引関係がある。こうした経緯から、再開発の進む高輪ゲートウェイエリア内に位置する「ニュウマン高輪」での出店が実現した。

 松田氏は今回の出店について「施設内で唯一の美容室であるとともに、ブランドの認知拡大に大きく寄与する。さらに、ニュウマン高輪に出店できることが、FaSSブランドの価値向上につながる」と話す。

「FaSS ニュウマン高輪店」店内の内観

 店舗は約20坪で、当初は23人のスタッフで運営を開始し、段階的に人員を拡充する計画である。自社開発の専用アプリ「FaSS Passport」を使えば、事前予約も可能だ。内装は木目を基調に白と黒を組み合わせ、グリーンをアクセントに採用。デザインは良品計画(東京都/清水智社長)傘下のインテリア企業・イデーが手掛けている。

同じ施設内のテナントとの協業も視野に

 FaSSは今後3年間で20店舗体制をめざしており、すでに17店舗目までの出店計画が進んでいる。その拡大を支える基盤づくりとして目下注力するのが、人材育成だ。サービスレベルの均質化を目的に12年には社内でカットスクールを立ち上げ、独自カリキュラムを整備。美容師としての経験の浅いスタッフでも一定の水準で施術できる体制を整え、現場への安定的な人材供給を図っている。

 さらに、アプリを通じた顧客アンケートを活用し、評価や改善点を迅速にフィードバックする仕組みも導入している。「よい評価はもちろん、厳しい声も必ず振り返り、改善につなげている」と松田氏は話す。

渋谷のカットスクールの模様

 こうした基盤整備と並行して、「ニュウマン高輪店」では、同じフロアに入居するフォトスタジオ施設との協業し、たとえば撮影前のヘアセットをFassで行うといったパッケージの開発を視野に入れている。他の店舗でも同様の協業を積極的に進める方針だ。

 松田氏は「ニュウマン高輪店でチャレンジする新たな取り組みを通じて、FaSS事業全体の発展につなげたい」と展望を語る。

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取材・文

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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