トライアル、西友買収の“真相”と“深層” トップが激白した今後の展望とは
3月中旬以降、国内小売市場を根底から揺るがすようなビッグニュースが相次いだ。その中心にいるのは、イオン(千葉県)、セブン&アイ・ホールディングス(東京都)、トライアルホールディングス(福岡県)の流通大手3社。勢力図を一変させること必至の大型再編の全貌と、今後の展望を考察する。

全国でスーパーセンター(SuC)を主力フォーマットとして展開するトライアルホールディングス(福岡県/亀田晃一社長:以下、トライアル)は、3月5日に西友(東京都/大久保恒夫社長)の買収を発表した。両社の売上高を単純合算すると1兆2000億円を超える見込みで、国内流通業界の勢力図を一変させることになる。
西友の店舗網獲得で首都圏攻略へ
トライアルは3月5日の取締役会で、西友の完全子会社化を決定した。西友の発行済み全株式を7月1日に取得する予定だ。買収総額は約3800億円に上り、手元資金に加え取引銀行から概算で約3700億円の借入金を調達するとしている。
西友は、首都圏を中心に中部・関西・東北エリアに242店舗(2025年2月末時点)を展開する国内有数の流通企業だ。21年に筆頭株主が米ウォルマート(Walmart)から米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)へ移ったのを機に、大久保社長のもとで再成長戦略を推進。本州での事業集中を図り、24年に北海道の店舗をイオン北海道(北海道/青栁英樹社長)へ、九州の店舗をイズミ(広島県/町田繁樹社長)へ譲渡している。

一方、トライアルはSuCを主力フォーマットとし、本拠の九州のみならず、近年は全国で出店を加速。24年には四国や北陸など未出店地域への進出も果たし、25年2月末時点で北海道から鹿児島県まで343店舗を展開する規模へと成長している。
こうしたなか、25年に入るとKKRによる西友株の売却が報じられた。イオン(千葉県/吉田昭夫社長)やパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH:東京都/吉田直樹社長)も関心を示していたとされるが、これらの巨大流通グループを抑え、トライアルが買収を実現した。
トライアルの24年6月期の売上高7179億円と、西友の24年12月期の売上高4835億円(本州事業の速報値)を合算すると1兆2014億円。EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は658億円、売上高EBITDA率は5.5%程度と見込まれる。国内の小売市場において、業界を牽引する新たな勢力が生まれることとなる。
さらに、西友の買収はトライアルにとって、戦略的意義を持つ。両社の