初任給ユニクロ並みに?3つのステップで給料爆上がりの会社を作る方法

2025/03/11 05:55
飛田基(Goldratt consulting)

売れる商品は徹底的に「えこひいき」せよ!

 「人」のこととなると、公平性、平等性が重要視されるが、商品は違う。売れるものも、売れないものも全部をごちゃ混ぜにして、一律に扱ってはならない。あらゆる商品の平均値としての「欠品率」や「在庫数」をベースにアクションを考えることはナンセンスそのものだ。身長が160170180センチの3人に、平均値である170センチの服をあてがうくらいに愚かなことなのである。

 平均値で判断することは、個の違いを無視することだ。店舗ごとの違い、商品ごとの違いを無視すれば、思ったように利益がでないのは当然だ。簡単な「さんすう」で、そのインパクトを考察してみよう。

 売れ筋商品が1つ欠けても、売れない商品が1つ欠けても、欠品率は同じ。でも、売れ行きは25倍違うのだから、欠品による売上へのインパクトは25倍違うのだ。

 だから、売れ筋商品はえこひいきして、積極確保に努めないとならない。

 1日に平均2.5個売れる売れ行き商品と、1日に平均0.1個売れる下位商品の在庫が5個ずつあったとしよう。在庫数は同じでも、在庫日数は前者では2日(=5÷2.5)、後者では50日(=5÷0.1)となる。1つの在庫が、在庫回転日数に与えるインパクトも25倍違うのだ。

 売れない商品は、早急に処分方法を検討し、実施しないとならない。そうしないと、週に一度は商品を補充しているのに、お店には在庫が100日分以上もあるなんていうことになりかねない。

 オペレーション指標として全商品や全店舗の「平均値」をベースにした管理をしていないか確認してみてほしい。もし当てはまっていたら、「儲けを増やす巨大な余地」があるかもしれない。

 ここまでの話が当てはまったとしたら、具体的な改善のためステップ3に進もう(下図ではステップ3部分のみを再掲)。

 ここで、「制約(来客数)に他のすべてを従属させる」とあるが、どういうことだろう?

 来客されたお客さまが、売れ筋商品を買えない(売り切れ)状況を許してはならない。売れ筋は絶対に切らさないオペレーションが必要だ。また来客されたお客さまに、売れない商品ばかりを見せる状況も許してはならない。

 そのためには、売れない商品を早期に特定して、増やしすぎないオペレーションが必要だ。

 つまり「売れない商品は見せない、売れる商品は常にある」がベストだ。ところが実際はどちらかを取り、どちらかを犠牲にしてはいないだろうか?

 これを実現するには、店舗、物流、DBなどの、あらゆる関連部署が、一丸となって連携する必要がある。具体的には、変化し続ける売れ行きに合わせて、適正な在庫数を店舗ごと、SKUごとに更新する仕組み、適正数に合わせて倉庫から在庫補充する仕組み、在庫の偏在を店間移動の活用によって均していく仕組みを導入すればよい。

 最後にその具体的な事例を見ていきたい。

 「axes femme」(アクシーズファム)ブランドを中心に国内73店舗を展開するアパレル企業のアイジーエー(https://www.iga-group.com/)は、252月期が増収増益となった。この業績を支える施策の1つに、上に解説したような仕組みの導入がある。エクセルのマクロや関数を駆使した在庫管理だけでは実行が追い付かないという課題を克服し、在庫運用の作業をAIエージェントにやらせることで、欠品と過剰在庫が減り、プロパー販売が増えたのだ。

 会社の儲けをどんどん増やし、給料爆上がりの未来を作る。月曜日が楽しみな会社にしよう!

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