連載ディスカウンティングのすべて、最終回!

桜井 多恵子(チェーンストア経営システムコンサルタント)
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経営戦略の変更は急務

 日本の商業革新が始まった1960年代から今日までの約60年間に、多くのフォーマットが開発され、多店化に成功した。日本型スーパーストア、スーパーマーケット(SM)、ホームセンター、ドラッグストア、100円ショップなどの総合フォーマット、そしてファミリー衣料に特化した衣料スーパー、ベビー・子供の暮らし用品、紳士スーツ、カジュアル衣料、ホームファニシング、家電などの専門フォーマットが次々と誕生し、生活者の日常の暮らしに定着していった。

 当時の新フォーマットが隆盛を極めたのは既存勢力より広い売場に豊富な品揃えが低価格帯で提供されたからだ。それらの新フォーマットはディスカウンティングフォーマットだったのだ。そのために生活者の人気を一挙に獲得することができたのである。

「マミープラス」
SM業界でも、ディスカウンティング型フォーマット開発の動きが出てきた。確実に生活者を味方につけ、オーバーストアのなかで多店化にまい進している。写真はマミーマート(埼玉県)の新たなディスカウント型フォーマット「マミープラス」

 ところが、フォーマット開発から数十年が経過し、それぞれの優良企業数社がフォーマット内で寡占し、ほかは排除または吸収されていった。そして今、生き残った寡占企業は同質化し、オーバーストアのなか減りつつあるお客の取り合い合戦中である。

 一方で高購買頻度品ほど多くのフォーマットを並行して扱われるから、フォーマット間競争が熾烈化している。この異フォーマット間競争は同質競合にどっぷり浸かって保守化した既存フォーマットを、フォーマットごと消滅させようとしている。

 既存フォーマットのオーバーストアと異フォーマット間競争、この2つの難題から脱却する対策が、新たなディスカウンティングフォーマットを構築することだ。

 最も保守的なフォーマットであるSMの分野で動きが表面化して20年以上が経過する。新たに開発されたディスカウンティング型SMは確実に生活者を味方につけ、オーバーストアのなかで多店化にまい進しているのは明らかだ。

 当然、他フォーマットも同じように新たなディスカウンティングフォーマットを開発すれば

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