約10年で来場者数1.5倍に イオングループのビル管理会社が「海づり施設」を運営する理由
施設の規模、利用者数、天災リスク……
海づり施設は売上を安定・維持させるのが難しく、小規模の施設では採算の面から参入メリットが乏しいうえ、横浜フィッシングピアーズと同規模の面積を有する施設でも一定以上の利用者数が確保できなければ採算がとれないケースもあるという。また、施設の規模や利用者数に加えて考慮しなければならないのが、自然災害の被災リスクだ。
横浜フィッシングピアーズも自然災害の脅威にさらされた過去を持つ。19年に発生した台風19号により、本牧海づり施設にある護岸釣り場と桟橋釣り場が損壊し、施設一部の閉鎖を余儀なくされた。一時は来場者数が半減したが、22年3月に補修工事を完全に終えると罹災以前の水準(約26万人)まで回復。このように、プラス収支をあげられる海づり施設においても、運営には常にリスクや困難がつきまとう。
こうした難しさがありながらも、イオンディライトは条件に見合う海づり施設があれば積極的に名乗りをあげていく方針だという。実際に、イオンディライトでは22年4月、横須賀市内にある「海辺つり公園」を含む2カ所の公園施設を受託している。緑地空間の建設、管理を行う西武造園(東京都/大嶋聡社長)らがつくったコンソーシアムに参画したかたちだ。
冒頭で説明したように、イオンディライトはイオングループの商業施設にとどまらず球場や工場、病院、ホテルとさまざまな施設の管理を手がけている。同社はこれまでに培ったノウハウを活かし、今後も海づり施設以外にも受託施設を積極的に拡大していくとのことだ。