九州で進む「共創」 ゴミ処理コストを激減させ資源にする「有価物ルート回収」の成果とは
有価物回収の実際
自転車や原付、遺物のような古い什器…
「有価物ルート回収チャレンジ」と題した初めての試みは4月12日、福岡市周辺の5店舗を参加店舗に実験が行われた。回収有価物はカーゴ数にして24台、2トン車1台では載り切らず、途中一度回収有価物を下ろして再度回収車が残る店舗に向かうかたちとなった。
「スーパーセンタートライアル福岡空港店」では、駐車場に長い間放置された原付バイクや数十台におよぶ自転車が有価物として目を引いた。
実は、自転車や原付バイクの回収は簡単ではない。明らかに放置されているということがわかっても、勝手に処分することができないからだ。自転車を例にすると、まずは警察に連絡、照会して、盗難や犯罪に関係していないことを確認する必要があり、その後、「◎日までに撤去されない場合は処分する」旨の警告文を貼り付けて周知を図ったうえで、ようやく処分することができる。店舗側にとっては迷惑なだけでなく、手間がかかるうえ、適切な手続きが必要なのだ。
回収当日、改装作業の真っ最中だった「トライアル須恵店」の場合は、店内設備入れ替えに伴う什器が回収物として多く出た。トライアルは什器備品を集中管理する「什器センター」を持っており基本はそこにまとめられるのだが、他店でリユースできない古い什器の場合は、都度車両をチャーターするコストも高いため、これまでは産業廃棄物としてお金を払って処分していた。有価物のロットがまとまれば車両チャーター費用を相殺することも可能なため、コスト面でも環境面でもメリットは大きい。
旧ダイエーグルメシティ店舗として長い歴史を持つ「マックスバリュ雑餉隈店」では、過去の遺物とでもいうべきおびただしい数の古い什器や備品、機材が回収された。2階の売場の一部を囲った廃材置き場は古い備品や鉄くずなどでパンパンになっていたが、回収後はきれいに整頓されたスペースへと生まれ変わった。