食品衛生の老舗サラヤが冷凍機器を製造し、冷凍技術を使った総菜店を営む理由
冷凍技術を利用した総菜・弁当の店を出店
2020年以降のコロナ禍では、生産者を支援するべく、同年8月、大阪東部卸売市場内に総菜の製造ラボを開設。生産地から生産物の余剰を引き取って同所で作った総菜を冷凍し、各地で調理販売するキッチンカービジネスを始めた。
このことをきっかけに、サラヤでは冷凍食材や冷凍商品の販売チャネル作りにも注力することにした。前述のキッチンカーやECでの販売、異業種の一角に冷凍ショーケースを置いて小売するケースやラボをゴーストレストランとして利用したデリバリーも開始したという。2023年1月には本社隣のコンビニエンスストア跡地に、新チルド調理システムを利用した惣菜・弁当の販売店「コトフ マルシェ」を開業した。
同店では毎日、冷凍した総菜やミールキットがラボから届けられ、厨房のコンベクションオーブンや湯煎調理器などで解凍または調理して約20~30品の総菜を陳列する。お客は好みの大きさの弁当箱に総菜を詰め、量り売りなどで販売しており、周辺に住む高齢者や主婦層を中心に集客する。
料理は、例えば鯖の塩焼きは、冷凍状態からコンベクションオーブンで一気に焼いて皮目をパリッと仕上げる。バンバンジーは冷凍の蒸し鶏を湯煎で解凍し、店の厨房でフレッシュのキュウリや解凍したタレで和えている。カニとレタスの炒飯は冷凍状態の炒飯をバットに広げ、
サラヤ出資100%で設立し、同店を運営するCotofの代表取締役・脇本邦裕氏は「冷凍技術の利点は主素材とソースやタレを分けて冷凍し、組み合わせを変えることで誰でもメニューバリエーションを拡大できること。また来客が読めないコロナ禍の中でも冷凍食品を利用することで需要と供給を調整できフードロスを軽減できること。賞味期限を長く取れることなど。今後も冷凍・保存・解凍・調理の技術をこの店から提案・発信したい」と話す。その言葉通り、同店は新チルド冷凍調理システムのアンテナショップとしての役割も兼ねており、視察に訪れる飲食関係者も多い。