大根から自動車まで売る「カリスマ販売員」に聞いた、コロナ時代「販売」の極意

2021/10/14 05:59
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    お客様との「つながり」を再確認

    橋本和恵氏

    コロナ禍において、販売員のもう一つの悩みのタネは、デパ地下など食料品売場での「試食・試飲」ができないことだ。販売員にとっては、客とコミュニケーションを取る手段の一つが奪われたことになる。橋本は、大手飲料メーカーの依頼を受け、密を避けるための「オンライン販売」を店舗で行った。飲料のコーナーにディスプレイを設置し、橋本は本社から、画面を通して接客する格好だ。

    「楽しいですよ」「お話ししましょう」など、約50のフレーズをかけてみたが、反応はイマイチで、苦戦していた。客が最終的に橋本に振り向いてくれたのは、「今、私とつながっています」という言葉を投げかけたときだった。「コロナ禍で、人と人との距離が離れてしまう時代。だからこそ、『つながり』という言葉に反応してくださったのではないでしょうか」

    「今、私とつながっています」という言葉は、反応率が他のフレーズと比べて2割も高かったという。そして、その「つながり」を意識することこそが、販売員にとって大切だ、と橋本は言う。「販売員は、モノを売る仕事ですが、購入されるお客様にとって大切な人がいて、商品をつくるメーカーの人にも家族がいる。そう考えると、一つの商品に関わった全ての人たちが、つながっていると言えます。販売員は、そのつながりにこそ敬意を払い、感謝の気持ちを持って現場に立って欲しいです」

     橋本は、現場に赴く際、必ず一礼をする。「商品を売らせていただいている」という感謝の気持ちを忘れないようにするためだ。

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