DXを実現するためにトライアルが実施した組織体制の変革とは
社内で“共通言語”を構築する
前述したような組織論を経営者が学ぶことは重要ですが、それだけでは不十分です。目標だけでなく、それを実現するための組織体制の意義、各組織の役割を、経営者だけではなく全社員が理解したうえで戦略を実行する必要があります。
経営者が戦略の実行力に物足りなさを感じている場合、それは従業員への説明が足りていないことが原因の1つです。経営者は、社員に自立を期待するケースが多いですが、そのためにはその仕事をする意義や理由、会社の方向性などを確実に理解させることが重要です。このステップを曖昧にすれば、「トップダウンで押し付ける経営者は理不尽だ!」「経営者の指示に従わない社員はわがままだ!」というような感情論のいがみ合いで終わってしまいます。
私たちは、すべてのレイヤーの人たちが同じ書籍などを通して獲得した同じ言語で会話することを徹底しています。上記で例として挙げた書籍に加えて、ジェフリー・ムーア著「キャズム」や、クレイトン・クリステンセン著「イノベーションのジレンマ」なども当グループの経営戦略に深く関係しています。これらの書籍を社員たちとともに読み込み、事業に適合できるように適切に”翻訳”しているのです。

DXに取り組む、もしくは新規事業を立ち上げる際、最初にやるべきことは社内で“共通言語”を構築することです。体系的な書籍を読み込み、全社員が使うことができる”共通言語化”のプロセスが完了してはじめて、新しい戦略を実行できるのです。
次回以降は、DX推進を支えるスマートショッピングカート及びAIカメラの店舗での活用や、それらを通じて当グループが既存の流通産業をどのように変革させようとしているのかについて解説する予定です。
プロフィール

永田洋幸(ながた・ひろゆき)
1982年福岡生まれ。米コロラド州立大学を経て、2009年中国・北京にてリテール企業向けコンサルティング会社、2011年米シリコンバレーにてビッグデータ分析会社を起業。2015年にトライアルホールディングスのコーポレートベンチャーに従事し、シード投資や経営支援を実施。2017年より国立大学法人九州大学工学部非常勤講師。2018年に株式会社Retail AIを設立し、現職就任。2020年よりトライアルホールディングス役員を兼任。
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