DXを実現するためにトライアルが実施した組織体制の変革とは
「ゾーンマネジメント」を基盤とした組織運営
スマートショッピングカートやAIカメラなどのソリューション開発を内製すると決断した際は、既存事業と新規事業の領域を同時に成り立たせる組織マネジメントを行うために、ジェフリー・ムーア著「ゾーンマネジメント」を参考にしました。何冊も参考になりそうな書籍を読み、この本が最も私たちが求める答えに近かったのです。
本書ではスタートアップ企業と比較して、既存企業が新規事業でうまく成長を維持できない点について、下記の通り指摘しています。
①破壊的変化が起きている市場では、スタートアップ企業の業績が既存企業を上回ることが多い。スタートアップ企業には利害衝突がないためである。
②一方で、既存企業では自社の業績維持に傾注してしまい、ステークホルダーの意思などの圧力がある。さまざまな力の板挟みになり、既存企業の取り組みは優先順位などの欠如から上手く進展せず、業績を悪化させてしまう。
③「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」を分離し、前者を新規ビジネスとその運営にフォーカスさせ、後者を既存ビジネスの拡張と改良に集中させなければならない。
④事業は「パフォーマンス・ゾーン」「プロダクティビティ・ゾーン」「トランスフォーメーション・ゾーン」「インキュベーション・ゾーン」という4つの領域に分解することができる。領域を明確に分けて、各事業に対して別々のマネジメントを実行する必要がある。
新たにIoT/AIソリューション開発を内製で行うにあたり、既存の小売事業で売上数千億円の規模になっていることから、同じ組織もしくは同じマネジメント手法でグループ全体を経営していくことが難しいことは明白でした。
私たちはゾーンマネジメントの手法をもとに、「インキュベーション・ゾーン」としてIoT/AIソリューション開発を行う組織であるRetail AIを新設し、「パフォーマンス・ゾーン」「プロダクティビティ・ゾーン」において既存事業のリアル店舗の運営をトライアルカンパニーが担うという体制を整えたのです。
トライアルグループ DX改革の秘訣 の新着記事
-
2022/06/28
AIレコメンドがマーケティングを変える?トライアルのスマートショッピングカートの新機能 -
2022/04/15
店舗から有人レジがなくなる? トライアルの「スマートショッピングカート」の革新性 -
2022/02/11
トライアルのスマートストアで重要な役割を果たす「リテールAIカメラ」の機能を徹底解説! -
2021/12/16
DXの本質は現場の課題解決!トライアルが「AIカメラ」だけでなく通常のカメラも活用するワケ -
2021/10/13
DXを実現するためにトライアルが実施した組織体制の変革とは -
2021/09/28
小売業の「ムダ・ムラ・ムリ」は約46兆円? 小売業にDX改革が必要な理由
この連載の一覧はこちら [6記事]
トライアルの記事ランキング
- 2024-12-14コンサル、業界関係者が語る「オーケーが関西で成功するか?」「競合がとるべき対策」
- 2024-11-20四国2号店は大型店!メガセンタートライアル善通寺店の売場づくり解説
- 2023-11-02徹底分析!ロピアVS トライアル、福岡生鮮ディスカウント頂上決戦の勝者
- 2022-07-26生鮮強化で“大化け”したトライアルカンパニーが日本の小売を席巻するワケ
- 2024-06-27トライアルが「日本のシリコンバレー」を福岡に本気でつくりたい理由
- 2024-05-10トライアル「総菜躍進」の立役者が食品商品開発のトップも兼任、戦略を語る!
- 2024-06-20トライアルカンパニーの商品政策(生鮮・総菜)について=動画コンテンツ
- 2024-06-24トライアルカンパニーのデジタル施策_スマートショッピングカートの買い物体験=動画コンテンツ
- 2021-09-28小売業の「ムダ・ムラ・ムリ」は約46兆円? 小売業にDX改革が必要な理由
- 2021-11-04安いだけじゃない! 進化する「スーパーセンタートライアル」の総菜