手帳、腹巻、地球儀…ほぼ日のECはなぜ、大ヒットを連発できるのか?

堀尾大悟
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サイトづくりも商品企画も、フラットさを重視

 ユーザーもそうでない人も楽しめるサイトづくりが、結果として看板商品の高いリピート率につながっている。ほぼ日手帳もそのひとつで、年間75万冊(2021年版)もの売上は多くのリピーターに支えられている。

 「私たちが販売する手帳は、まだ白紙の『ゼロ』の状態。そこから365日使うのは実際に購入したユーザーで、手帳の使い方やアレンジの仕方について多くのフィードバックを頂いています。そのフィードバックが新たな記事になったり、商品開発に活かされる。ユーザーも商品づくりに参加しているのです」(小泉氏)

 ファンとのコミュニケーションに注力する一方で、決して囲い込みをしたり特別扱いをせず、排他的な空気をつくらない。このフラットな環境を大切にする姿勢が、サイトづくりだけでなく、商品企画にも表れている。

 「商品企画でも、ガチガチのプレゼンなどは行いません。『こういう商品を作ってみたいんだけど……』というアイデアの種を、隣にいる同僚にぼそっと話すところから始まって、みんなで『こうしたらいいんじゃない?』とワイワイ雑談しながらその種を育てていく。そういった、誰でも自由にアイデアを出せる環境を大切にしています。これは、創業当初からの糸井の想いでもあります」(同)

 国境を取り払った「アースボール」のように、顧客とのコミュニケーションにおいても社内環境においても、買う人と買わない人、ベテランと若手という「ボーダー」を排除する。フラットで“ゆるい”コミュニティを築いてきたことが、ほぼ日が20年以上にわたって息長く支持される秘訣なのだろう。

 「20年前に生まれた赤ちゃんの育児日記だったほぼ日手帳を、その子がお嫁に行くときにプレゼントするようなことも、今後はあるかもしれません。そうなったらもう感謝しかありませんね」(同)

取締役
取締役 商品事業部長の小泉絢子氏
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