手帳、腹巻、地球儀…ほぼ日のECはなぜ、大ヒットを連発できるのか?

堀尾大悟
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買い物をしない人も出入り自由の「“ゆるい”コミュニティ」

ほぼ日手帳
9月から発売される2022年版のほぼ日手帳

 商品企画のユニークさに加え、ほぼ日のもうひとつの強みはなんといっても、1998年の創刊以来、毎日配信を続けているサイトのコンテンツ力にある。ECサイト「ほぼ日ストア」でも、ほぼ日手帳をはじめとする商品の開発工程や、読者が使用した感想、アレンジ方法などを記事にして配信することで、ファンとのコミュニケーションを図っている。

 「ほぼ日という会社は、一言で言うと『コンテンツを生む会社』。私たちにとっては、モノをつくることや売ることも『コンテンツ』なんです」(小泉氏)

 そのコンテンツづくりにおいて意識しているのは、「お買い物をしない人も楽しめるようなECにしたい」(同)ということだ。

 「読者に楽しんでもらうこと、喜んでもらうことが、私たちにとっては収益よりも圧倒的に優先度が高い。『ほぼ日手帳』のユーザーはもちろんですが、仮に使ったことがない人でも、他の人がどのように手帳を使っているのか、アレンジを工夫しているのかといったことを、楽しく読めるようなコンテンツ作りをめざしています」(同)

 「参加を強制したくない」との思いから、会員制度やロイヤルカスタマーへのインセンティブなどは設けず、「ほぼ日から離れていた人も戻ってきやすい“ゆるい”コミュニティづくり」を重視しているという。その“ゆるさ”が、ほぼ日手帳の売れ方にもユニークな現象を生み出している。

 「ユーザーの中には『ほぼ日手帳を3年ぶりにまた使うことにしました』という方もいます。ほぼ日手帳からしばらく離れていたユーザーがまた戻ってきて、ほぼ日手帳を再び使ってくれる動きもあるんです」(同)

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