東急ストア(東京都/須田清社長)は7月21日、グローサラント型の新フォーマット「デリマーケット」の2号店を、JR中央・総武線「飯田橋」駅直結の商業施設内にオープンした。新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下で駅やイートイン利用が減少傾向にあるなか、同社はどのような店づくりをしているのか。
売場面積は1号店の1.5倍
同店がオープンしたのは、JR東日本子会社のJR東日本クロスステーション(東京都)が運営する商業施設「エキュートエディション飯田橋」の2階部分。2018年9月に大規模複合施設「渋谷ストリーム」(東京都渋谷区)に出店した1号店に続く「デリマーケット」の2号店である。
売場面積は1号店の約1.5倍となる244㎡。「デリマーケット」の名のとおり総菜を中心に、飲料、酒類、菓子、デザート、加工食品など1854SKUを販売する。
「1人の食事は窮屈」
安全な飲食空間を提供する
1号店の開業から3年近くが経過し、さらに現在はコロナ禍で駅やイートイン利用が減少傾向にあるなか、なぜ今、東急ストアはデリマーケット2号店を開業したのか。
同社営業本部副本部長兼商品統括室長の大堀友二氏は「コロナ感染拡大が長期化し、自宅で1人で食事をすることに窮屈さを感じている人は少なくない。そうしたなか安全が担保されたオープンな飲食なスペースを提供するべきだと考えた」と説明する。
こうした考えも含めて、同店はコンセプトに「Iidabashi Deli Style」を掲げる。総菜をメーンに扱い、飯田橋を訪れるさまざまな人に、1日のあらゆる時間帯にあった食シーンを提供できる店をめざしている。
総菜のSKU数は削減
出来たて商品に注力する
「デリマーケット」で注目される点は、出来たて総菜の提供とバイオーダーに挑戦している点である。
まず1号店同様に店内の一角にショーケースを設置し、店内加工のサラダや総菜を販売。来店客が好みの総菜やサラダを選べる「デリボックス」「マイセレクトサラダ」を提供している。
レジカウンターでは、コーヒー専門店「猿田彦珈琲」の豆を使用した淹れたてコーヒーやクラフトビールを提供するほか、ピザとホットサンドをバイオーダーで提供する。
そのほか総菜カテゴリーの商品では、弁当や温総菜、寿司を扱い、これらは基本的にアウトパック商品とした。総菜カテゴリー全体のSKU数は136と1号店よりも3割弱減らしている。作業効率を向上させて、出来たて商品の提供により注力する方針のためだ。
グラスワインを提供
「Uber Eats」とも連携へ
2号店からの新たな取り組みとして、専用サーバーを設置しグラスワインも提供する。専用コインをレジで購入し、サーバーの機械に投入するとグラスをセットしワインが注げる仕組みだ(現在は緊急事態宣言中のため一時休止中)。バイオーダーメニューと合わせて購入し、夕刻以降に“ちょい飲み”ができる場として利用される店をめざす。
さらに同店ではテイクアウトや宅配ニーズにも対応するのが特徴だ。
テイクアウトについては、前述の「デリボックス」「マイセレクトサラダ」の注文を、東急ストアの公式LINEアカウントを通じて受け付け、指定の時間に合わせて調理し、顧客が出来たての商品を持ち帰れるサービスを提供する。
宅配については、8月下旬からオンラインデリバリープラットフォーム「Uber Eats」と連携し、「デリボックス」「マイセレクトサラダ」のほか、飲料と菓子などを注文に応じて宅配する
「小型店開発を
いっそう進めたい」
今回の出店は、東急電鉄「二子玉川」駅内に同社初の駅ナカ小型店としてオープンした「東急ストアフードステーション ミニ 二子玉川駅構内店」(19年11月オープン)と「デリマーケット」1号店を目にしたJR東日本グループ側から、東急ストアに出店のオファーがあったという。
大堀氏は「これを好機にデリマーケット業態を成功させ、駅ナカ、駅チカでの小型店の出店をいっそう推進していきたい」と話している。
コロナ感染拡大以降、イートインの設置を縮小している食品スーパーは少なくない。
そうしたなか東急ストアは、安心して飲食ができる場の提供に力を注ぎ、コロナ禍で生まれている新たな食ニーズを獲得しようとしている。
【店舗概要】
店名 プレッセ飯田橋デリマーケット エキュートエディション飯田橋店
所在地 東京都千代田区飯田橋4-17-27
売場面積 244 ㎡
営業時間 平日7:00~22:00、土・日・祝 8:00~21:00
年商目標 4億3000億円