関東中心にディスカウントスーパーマーケットを展開するオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)の、2021年3月期業績が発表された。コロナ特需に沸いたスーパーマーケット(SM)業界は、上位企業のほとんどが増収増益を記録。上場SM各社と比較し、オーケーの業績はどのようなものだったか。
売上高5000億円を突破、経常利益では業界第1位に
オーケーの2021年3月期業績は、売上高が5076億円4000万円(対前年同期比16.8%増)と初めて5000億円を突破。営業収益は5089億7500万円(同16.7%)、経常利益は314億2900万円(同32.9%増)といずれも高い伸び率を示した。上場SM各社と比較すると、営業収益はアークス(北海道/横山清社長)に次ぐ業界第6位で、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)をわずかに凌ぐ。経常利益では、バローホールディングス(岐阜県/田代正美社長)の283億9700万円を上回り、業界第1位となる(アークスは21年2月期決算と比較。ヤオコー、バローホールディングスは21年3月期決算と比較)。
好調の要因として、オーケーはコロナ禍による内食需要の増加を挙げている。さらに、20年2月より全ての常温食品が自社物流センター経由の納品に変更されたことで、コロナ特需による急激な物流量の増加にも対応できたことも、業績の伸びに貢献したとみられる。
ネット宅配、調剤事業を開始
業績説明の中でオーケーは、今後の重要施策として、ネット宅配事業および調剤薬局事業の展開を挙げている。現在オーケーは、お客が店頭で購入した商品の有料配送サービスのみを行っているが、コロナでの非接触ニーズや高齢化への対応として、ネット宅配事業を開始する。商品価格は店頭価格と同一(各店舗が独自に行う競合対抗値下げは除く)とし、最低注文金額1万円から、配送料は買上げ金額の4%でスタートする見込みだ。
また、これまでもオーケーの一部店舗では大衆医薬品の販売を行ってきたが、さらに病院処方箋の取り扱いも開始する。大型店ではクリニックの併設なども検討しており、食料品の購入以外でも便利な店づくりをめざす。
22年3月期は目標として、既存店売上高5483億円、対前年同期比108%を掲げる。コロナ前から低価格・高品質で人気を集めるオーケーは、21年3月期に得た利益をもとにさらなる競争を仕掛けていく方針だ。また、ここ数年停滞気味だった新規出店は10店舗を目標とし、出店強化に努める。
経営目標には「借入なしで年率20%成長の達成」を掲げ、既存店の売上を伸ばし、積極的に新規出店を行うことで、さらなる競争力強化を図る構えだ。