2030年までに日本一のデベロッパーをめざす 加藤久誠社長が語るイオンタウンの戦略

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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近隣型ショッピングセンター(NSC)を中心に全国に148施設を展開するイオンタウン(千葉県)。新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下で長距離の移動が自粛されるなか郊外のNSCの存在感が増している。イオンタウンの現状と今後の成長戦略を加藤久誠社長に聞いた。

非物販の専門店比率が半分程度まで上昇!

──コロナ感染拡大がイオンタウンに与えた影響を教えてください。

イオンタウン代表取締役社長 加藤 久誠氏
かとう・きゅうせい●1960年3月生まれ。83年ジャスコ(現イオン)入社。2001年マックスバリュ東北開発部青森担当部長。08年同社青森事業部長。09年同社取締役、12年同社常務取締役、13年5月にマックスバリュ北東北社長に就任。14年3月からマックスバリュ東北営業本部長兼開発本部長、同年5月から同社専務取締役に就いたのち、18年5月から現職

加藤 大きなインパクトを受けたのは「変化スピードの速さ」に対してです。非接触ニーズの拡大によるデジタル化の推進など、今後10年ほどかけて遂げるような施設づくりの改革が一気に求められました。

 業績への影響については、当社は感染拡大直後の3~5月は感染防止対策として、賃貸面積2万5000㎡以上のクローズド型のショッピングセンター(SC)の専門店区画を休業しました。一方で、営業を継続したNSCは、都市部の商業施設の利用が敬遠されるなか、近場で比較的ショートタイムショッピングが可能となる点が支持され、結果、2020年度の全体売上高は前年度の水準を確保できました。NSCでも多くの食品小売業と同じく、お客さまは来店頻度を下げてまとめ買いする傾向にあり、客数が減ったぶん、客単価が伸びています。

 収益面では、専門店の支援策として、固定賃料の減免や最低保証売上高の一部撤廃を行ったことが、利益を押し下げる要因となりました。ただし専門店の皆さまと共栄共存をめざすデベロッパー企業として、必要な対応だったと考えています。

──専門店にはどのような影響が出ましたか。

加藤 業種間で明暗がはっきりと分かれました。NSCの核店舗として入る食品スーパー(SM)やドラッグストア、ホームセンター(HC)のほか、100円ショップや手芸、ペット用品などの専門店、さらに近年苦戦していた書籍店も人気漫画「鬼滅の刃」の影響もあり業績が伸長しました。これらの業種は、感染拡大から1年が経過した今でも売上が前年度同様の水準で推移しています。

 他方、苦戦したのは飲食店や、アパレル、靴、カバンなど、コロナ禍で使用頻度が落ち込んだカテゴリーの専門店です。

──コロナ禍で地域におけるNSCの価値はいっそう高まっています。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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