2030年までに日本一のデベロッパーをめざす 加藤久誠社長が語るイオンタウンの戦略
近隣型ショッピングセンター(NSC)を中心に全国に148施設を展開するイオンタウン(千葉県)。新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下で長距離の移動が自粛されるなか郊外のNSCの存在感が増している。イオンタウンの現状と今後の成長戦略を加藤久誠社長に聞いた。
非物販の専門店比率が半分程度まで上昇!
──コロナ感染拡大がイオンタウンに与えた影響を教えてください。
加藤 大きなインパクトを受けたのは「変化スピードの速さ」に対してです。非接触ニーズの拡大によるデジタル化の推進など、今後10年ほどかけて遂げるような施設づくりの改革が一気に求められました。
業績への影響については、当社は感染拡大直後の3~5月は感染防止対策として、賃貸面積2万5000㎡以上のクローズド型のショッピングセンター(SC)の専門店区画を休業しました。一方で、営業を継続したNSCは、都市部の商業施設の利用が敬遠されるなか、近場で比較的ショートタイムショッピングが可能となる点が支持され、結果、2020年度の全体売上高は前年度の水準を確保できました。NSCでも多くの食品小売業と同じく、お客さまは来店頻度を下げてまとめ買いする傾向にあり、客数が減ったぶん、客単価が伸びています。
収益面では、専門店の支援策として、固定賃料の減免や最低保証売上高の一部撤廃を行ったことが、利益を押し下げる要因となりました。ただし専門店の皆さまと共栄共存をめざすデベロッパー企業として、必要な対応だったと考えています。
──専門店にはどのような影響が出ましたか。
加藤 業種間で明暗がはっきりと分かれました。NSCの核店舗として入る食品スーパー(SM)やドラッグストア、ホームセンター(HC)のほか、100円ショップや手芸、ペット用品などの専門店、さらに近年苦戦していた書籍店も人気漫画「鬼滅の刃」の影響もあり業績が伸長しました。これらの業種は、感染拡大から1年が経過した今でも売上が前年度同様の水準で推移しています。
他方、苦戦したのは飲食店や、アパレル、靴、カバンなど、コロナ禍で使用頻度が落ち込んだカテゴリーの専門店です。
──コロナ禍で地域におけるNSCの価値はいっそう高まっています。