利益激減のなかコロナ禍のライブコマースで起死回生 8か月で売上10倍にしたサトーカメラ、成功の秘訣
起死回生の一手はYouTubeでのライブコマース
実は、サトーカメラでは既に2003年から自社サイトでの通販を行っていた。しかし、「全く売れなかった。楽天モールなどに出店すれば売れたかもしれないが、それでは(手数料で)利益がなくなってしまう。かといって自社のオンラインショップでは知名度も低く売れない。このジレンマから長らく脱出できなかった」(佐藤氏)という。
コロナ禍で再度、通販という方法で打って出るに当たって、佐藤氏がメーンの販促手段に選んだのはYouTubeだった。YouTubeチャンネル自体は2018年から開設していたもので商品紹介を配信しており、この時には登録者数2万6000人程度になっていた。ここに向けてライブコマースを行い、商品を売ろうと考えたのだ。
ライブコマースとは、ライブ配信上で商品説明を行い、視聴者がリアルタイムに質問をしながら商品を購入できる、新しいECの形だ。一般的には、ライブコマースで収益を上げるためには最低10万人〜100万人のチャンネル登録者がいないと難しいといわれているが、ここでも佐藤氏は常識にとらわれなかった。「文字と静止画像だけのECは飽きる。飽きさせないECであれば登録人数に関わらず売れるはず」(佐藤氏)との考えから、ライブ配信上でまずは中古カメラ、限定一台の販売を試みたところ、これが売れたという。それまで100万〜200万円/月だったECの売上が、ライブコマース開始以降の20年3〜5月は安定して300万円/月になった。その後、ライブコマースで扱う商品を新品カメラなどにも拡大したところ売上はさらに伸長。11月以降は2000万/月を安定して売り上げており、たった8ヶ月で売上が10倍以上になったというから驚きだ。