栃木最強カメラチェーン!フィルムカメラシェア8割だったサトーカメラがフィルムカメラの取り扱いをやめた理由
デジカメ時代到来、苦渋の決断
独自の路線を貫きながらも順調に成長していたサトーカメラだが、90年代後半、業界全体が大きな転換を迎える。フィルムカメラからデジタルカメラ(以下デジカメ)への移行だ。
当初、業界関係者は楽観的な姿勢だった。佐藤社長によると、ある大手フィルムメーカーの会長は「(フィルムの売上は)2000年から10年かけて1割ダウンする程度」と極めて楽観的な見通しを語っていたというが、実際にはフィルムの売上はその10年で14分の1まで落ち込んだ。さらに、デジカメはフィルムカメラと違い、カメラ自体が売れてしまえばその後のフィルム代や現像代といった売上も見込めない。
しかし、「デジカメの時代が来ているのに売り手の損得だけを考えて、お客にフィルムカメラを売るような無責任なことはできない」(佐藤氏)との考えから、2005年、サトーカメラはフィルムとフィルムカメラの取り扱いをやめた。当時サトーカメラは県内でフィルムカメラの売上シェア8割を占める圧倒的な存在だったが、その地位を捨てる行為に社内から大反感を買い、3分の2の社員が会社を去ったという。
それでも、佐藤氏は「我々の仕事は『想い出を残すこと』だ。そのための媒体がフィルムカメラなのか、デジカメなのかは関係ない」という考えを貫いた。しかしさらなる変化が訪れる。時代はフィルムカメラからデジカメ、そしてデジカメからスマートフォンへと急速に移り変わろうとしていた。(第2回に続く)