独自の品揃えを追求し差異化「全員参加の経営」で改革進める=平和堂 夏原平和社長
今春、農業事業へ進出
──消費者の購買行動はどのように変化していますか。
夏原 価格に敏感な消費者が確実に増えています。とくに目立っているのは20歳代後半から30歳代にかけての世代です。彼らの雇用形態は派遣社員や契約社員も多く、また賃金の大幅な上昇もなかなか期待できません。当社では、そういった方も安心して買物してもらえるような店になるように変えているところです。
──具体的には、どのようなことに取り組んでいるのですか。
夏原 昨年9月から、価格政策を大幅に見直し、従来のハイ&ローを減らし、EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)の商品を増やしています。飲料や菓子、レトルトといった食品を年間を通じ低価格で提供する「生活応援得だ値」、3カ月間で対象商品を見直す「期間限定得だ値」、さらに1カ月を期間とする「スーパープライス」などで安さをアピールしています。
一方で、デリカ部門を強化することによる差異化にも取り組んでいます。高齢化の進展、単身世帯の増加などを背景に、簡便商材のニーズが高まっています。この部門は、低価格志向の店では揚げ物が中心で、それほど充実していないようです。これに対し、手間をかけた、おいしい総菜やおいしい弁当を安価で販売することを当社の強みにしていきたいと考えています。現在、新規出店や既存店舗のリニューアルのタイミングで売場を拡大するとともに、当社でしか買えない「名物総菜」の開発に力を入れています。
──独自商品といえば、今春には農業事業に進出、製造小売業としての一歩を踏み出しました。
夏原 農業生産法人「サニーリーフ」を設立し、滋賀県彦根市に水耕栽培の生産拠点を整備しました。「安全・安心」な商品を提供することを第一としています。相場が変動しやすい青果物を安定的な価格で販売するねらいもあります。すでに水菜やレタスといった葉物野菜が、一部店舗に並んでいます。技術的にはハウス栽培したアスパラガスを年中、販売することも可能で、今後は当社独自の品揃えも探っていきます。