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新しいSMの形を提示!サミット、新・中計「GG2022」を 具現化した「五反野店」の売場づくりに迫る

 12月9日、サミット(東京都/服部哲也社長)は、東京都足立区に「サミットストア五反野店」(以下、五反野店)を建て替えオープンした。同店はサミットが新たに掲げる、2022年度までの3カ年中期経営計画でめざす店づくりのモデルと位置付ける店舗である。その具体的な取り組みをレポートする。

12月9日に建て替えオープンした「サミットストア五反野店」(東京都足立区)。1977年開業で地域の“象徴”のような存在として愛されてきた繁盛店だ


 五反野店は、東武伊勢崎線「五反野」駅から北へ約200mに立地する。1977年に開業した同店は、サミットにとって衣料品売場を併設した売場面積約400坪タイプの店づくりに初めてチャレンジした店舗だ。開店以降、長年地域に愛される繁盛店だったが、最新のMD(商品政策)を導入できていなかったことや、近隣に競合店が少しずつ増えてきたこともあり今回、スクラップ&ビルドにより競争力向上を図った。

 建物構造は3階建てで、1階の食品売場は、売場面積を改装前比の約1.4倍となる2102㎡に拡大。2階にはファミリーレストランといった新たなテナントを誘致し、3階には今後、医療モールを導入する。

事業を通じて
「社会」に貢献する

 同店で注目されるのは、サミットが新・中計でめざす食品スーパーの具現化に挑戦している点だ。

 新・中計のテーマは「GO GREEN 2022~社会に必要とされる新しいSMの創造~」(以下、GG2022)だ。「GREEN」には、サミットのコーポレートカラーである緑色のほか、「環境」「健康」「成長」などの意味も込められている。

 その具体的な方針について服部哲也社長は「これからはステークホルダーに『お客さま』『社員』『お取引先さま』だけでなく『社会』も加える。そして、食材を提供するだけでなく、事業を通じて高齢化や環境保護などの地域社会にも貢献できる、食品スーパーの枠を超えた存在になることを追求する」と説明する。これを実現することで、業態の垣根を越えた競争が激化するなか、消費者に選ばれる企業をめざす考えだ。

めざすは「ハイタッチ
withハイテック」

入店するとデジタルサイネージを設置した4本の柱が視界に入る。来店客が思わず店の奥まで足を進めてしまうような楽しい買物環境を提供する

 では、「GG2022」の方針は五反野店にどうように反映されているのか。

 まず、同店では「ハイタッチwithハイテック」を掲げ、最新技術を活用することでより地域住民に利便性や親しみ、買物の楽しさを感じてもらえるようにしているのが特徴だ。

 たとえば出入口付近の4本の柱に、デジタルサイネージを設置した。19年10月開業の「テラスモール松戸店」(千葉県松戸市)では壁面に長さ10mを超える大型のディスプレイを設置したが、今回はより小型のタイプを導入した。店舗の外からもディスプレイが見えるようして通行者の興味をひくとともに、入店すると全4本の柱が視界に入り、来店客が思わず店の奥まで足を進めてしまうような楽しい買物環境を提供する。

デジタルサイネージではその時期に応じた映像を流し季節感を演出する。4本の柱の映像は連動しており、開店時は多くの来店客が楽しそうにディスプレイを眺めていた

次世代型屋内垂直農法の
「インファーム」と提携

初導入したインファーム社のファーミングユニット。生産効率が高く、約250㎡の畑と同等の栽培能力を有するほか、一般的な生産方法と比較して使用する水の量を約95%、肥料の量を約75%削減できるという

 また出入口すぐの場所には、新たな取り組みとして、ドイツ・ベルリン発農業ベンチャー企業インファームの、次世代型屋内垂直農法のファーミングユニットを設置した(写真上参照、実際の稼働は21年1月予定)。専用什器によって店内、また「ハブ」と呼ばれる東京都内某所に設置された拠点の計2カ所で栽培したバジルや、パクチー、レタスなどの葉物野菜を販売する。

 店内や店舗の近くで農産物を生産することで、物流による環境負荷を低減させるインファームの取り組みが、サミットのGG2022の方針と合致することから今回、業務提携に至ったかたちだ。今後、利用動向をみてその他の店舗への導入も検討していくという。

浮いた人時でお客との
コミュニケーション強化

 さらに「ハイテック」の施策として、約20台ものセルフレジを導入した。サミットはこれまで、セルフレジを都市型小型店で実験的に導入してきた。大型店にこれだけの台数を設置したのは初の試みとなる。

 そうして浮いた人時を、サミットは接客やサービス向上につなげるねらいだ。たとえば同店では、サミットが近年、新店を中心に配置してきた接客専任の「案内係」を、1~2名体制の既存店と比較して多く配置したという。また、来店客から要望のあった商品を揃えるコーナーも大きく設けている。

五反野店では、約20台ものセルフレジを導入した
来店客から要望のあった商品を揃えるコーナー。写真の売場以外に、ゴンドラエンド部分にも同じコーナーを設けている

地域住民とともに
よりよい店をつくる

 それ以外にも五反野店では、地域とのつながりを構築するためのさまざまな工夫が見られた。

 たとえば開店準備の際、SNSを通じて地域に根差して営業するデザイン事務所の存在を知り、イートインコーナーに飾る絵の制作を依頼した。またこちらもSNS上で、サミットの開店を待つ地域住民が「店頭に生えている木がイルミネーションされ、地域を明るくしてくれると嬉しい」という内容のコメントしていたことを受け、実際に電飾を施した。服部社長は「このような積み重ねによって、近隣住民の皆さんにサミットを地域の一員として認めていただき、ともによりよい店をつくっていきたい」と話す。

イートインコーナーに飾られている、地元のデザイン事務所の女性が制作した絵。創業時から地域で愛され続ける、五反野店の変遷が描かれている

 五反野店の初年度の年商目標は約35億円で、将来的には50億円を達成できるような店をめざす。サミットはGG2022で掲げるビジョンを実現するべく、同店での成功事例を既存店にも波及していく方針だ。

【サミットストア五反野店 概要】
所在地 :東京都足立区中央本町 2 -26-13
営業時間:9:00~25:00
売場面積:2102㎡