ウエルシア薬局(東京都)は、新都市小型店フォーマットの確立に取り組んでいる。2017年9月に新都市小型店の1号店「ハックドラッグサクラス戸塚店」(神奈川県横浜市)をオープン。17年12月には同2号店の「ウエルシア神田小川町店」(東京都千代田区)を開業した。新都市小型店フォーマットの売場づくりや商品政策(MD)はどのように組み立てているのか――。
都市型立地は“市街戦”
「新都市小型店はオーダーメードで、1店舗ずつ立地、店舗の形状によって品揃えを変えている。ウエルシア薬局が得意な郊外はどちらかというと野戦対応。都市部はしらみつぶしにエリアを制圧する市街戦であり、オフィス、住宅街、駅ビル内など立地によって戦い方を変えないといけないと考えている」
ウエルシア薬局の師岡伸生副社長は新都市小型店の要所をこう説明する。
同社は2017年9月に「ハックドラッグサクラス戸塚店」をリニューアルオープンしたのを皮切りに、新都市小型店の本格展開をスタートした。2号店の「ウエルシア神田小川町店」は「ウエルシア」屋号の新都市小型店としては初の新規出店であり、その後、18年3月に「ウエルシア浅草まるごとにっぽん店」(東京都台東区)、「ハックドラッグ中野富士見町店」(東京都中野区:リニューアル)などを開業している。
新都市小型店は、基本的には調剤を核に、ヘルス&ビューティケア(H&BC)をメーンに販売するほか、お客のH&BCに関する相談にも対応。総菜や日配品なども強化している。MDやサービス面は「専門性」と「便利性」を重視しているのが特徴だ。
たとえば売場面積100坪余りの調剤併設の神田小川町店では、H&BCに加えて、弁当やおにぎりなどの総菜も販売。レジカウンターにはコーヒーマシンを導入し、お客の「コンビニ使い」にも対応する。ほかにも文具やトラベルグッズ、乾電池、ティシュやトイレットロールなど日用雑貨も充実している。サービス面では、銀行ATM(現金自動預け払い機)、コピー機、公共料金の収納代行を行う。
2019年2月期は15店舗前後を出店
都市型小型店のMDは旧CFSコーポレーション出身のバイヤーが担当。都市型店舗が得意だった旧CFSコーポレーションのノウハウを生かしている。
ウエルシア薬局の新谷励副社長は、同社の主力である郊外型店と新都市小型店の違いを次のように説明する。
「化粧品売場は、郊外が3尺単位でブランドごとの売場を設置しているのに対し、新都市小型店は2尺単位だ。これによりブランド数を確保しながらコンパクトな売場でしっかり化粧品を展開できる。雑貨は立地に応じて、たとえば駅ビル内ならバラエティ雑貨を充実させたり、オフィス街であれば文具をしっかり置いたりする」
店舗オペレーションは基本的に郊外型店とほぼ同じ。販促は試行錯誤中だ。
ウエルシア薬局の水野秀晴社長は「郊外型でも開業後1年は赤字。新都市小型店はもう少し時間がかかり、1~2年は我慢しないといけない。新都市小型店は賃料負担が重いが、小規模で人員が少なくてすむので総人件費は郊外型よりは若干低くなる」と説明する。
19年2月期にウエルシアホールディンス(東京都)は国内に124店舗を新規出店する。そのうち15店舗前後が新都市小型店の計画だ。20年2月期以降は年間の新規出店数の20%前後が新都市小型店になる予定だ。