ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営7 ネット時代を生き抜く戦略とは
ではSCはECにどう対応すればいいのか?
SCの運営現場では、テナントが自社ECで販売した商品を店舗で渡すことを禁止するSCが多い。テナントが店舗内で自社ECを案内することを禁止するSCも少なからずいる。
しかし、そんなことをしていてはそのうちお客様はSCへ来なくなるだろう。流通業は、お客様へ進化した利便性を提供することで成長してきたし、今もそれは変わらない。
ところがテクノロジーの進化に着いていかないばかりかそれを回避・阻止することで過去のビジネスを継続しようとするSCも多い。
相変わらず、「接客ロープレ、コミュニケーション、店舗巡回、ヒアリング」とアナログな活動を繰り返す。これらは否定されものではないし、一定の成果は出るだろう。
しかし、SC事業は、テナント売上に依存するビジネスを続けている限り、ECを敵とみなすしかない。ネットを敵と見ている限りますますお客様の足は遠のく。
SC事業者は、店舗の機能がネット流通の一部になることを真摯に受け止め、その上でお客様へ利便性と価値を提供する。
この活動こそがネット時代に生き残る戦略ではないだろうか。
西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役
東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。
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