本多塾塾長が語る 流通業界 時事放談 第3回「コロナショックを好機ととらえ、差別化を図ろう」
前向きな中国の経営者
新型コロナウイルスの影響で消費が低迷していますが、実は過去の不況とは少しタイプが異なります。リーマンショックのように、従来は金融に端を発していたのに対し、今回は観光、飲食、小売など第三次産業が震源地となっているのが特徴です。
金融は大きなダメージを受けていない、つまりカネは回るため、ユニークな中小企業がしわ寄せを受け破綻するケースはまだ多く出ていないのが救いです。
一方、私は仕事で海外によく足を運びますが、そのうち中国の状況に触れておきます。政治体制はじめ否定的な見方をする日本のマスコミもありますが、何といっても14億人の大きな市場は魅力的。あちらでも「巣ごもり」する人が多く、自粛ムードが続いているのは日本と同じです。
現地の企業、とくに私が懇意にしている小売りのトップと話していると、前向きな人が多い。危機をチャンスととらえ、新業態を出すなどの動きが見られます。
ここで話を日本に戻すと、今回の新型コロナショックにより社会の価値観、消費者の行動は大きく変化、もう以前の姿に戻ることはないだろうと見ています。そのなか、ことチェーンストアについて言えば、重要になるのは「コミュニケーション」ではないかと思うのです。
これまで小売業は、レジをはじめセルフ化を進めてきました。つまりお客との接点が少なくなってきているのが現状です。しかし、これからはデジタル化の推進とともに、お客とより「コミュニケーション」の接点を持ち、双方向の交流ができるような関係性によって、店・お客との間の信頼関係が構築されると予想しています。
会員カードを例にとれば、従来はポイントを貯める機能が中心でした。しかし、今後は会員向けの弁当メニューを提案するというのも一案です。
このように新型コロナショックを前向きにとらえ、新たな視点でビジネスを見直せば、他社と差別化を図る機会になるかも知れません。
(お知らせ)
今夏、第2回「本多塾」開催を予定しております。開催概要が決定しましたら、「DCSオンライン」で告知いたします。ご期待ください。
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本多 利範 氏
1949年神奈川県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。大和証券を経て、1977年セブン-イレブン・ジャパン入社。1996年、同社の最年少取締役に就任(取締役食品部長、当時)。98年に渡韓し、ロッテグループ専務取締役として韓国セブン-イレブンの再建に従事。帰国後、スギ薬局専務取締役、ラオックス代表取締役社長、エーエム・ピーエム・ジャパン代表取締役社長などを歴任。2010年よりファミリーマートにて常務取締役員として新規事業を担当、15年より取締役専務執行役員・商品本部長としておにぎりや弁当など多くの商品の全面改革に取り組む。17年に取締役専務執行役員・社長補佐就任、ユニー顧問を兼務。18年に株式会社本多コンサルティングを設立。著書に『売れる化』『おにぎりの本多さん』(プレジデント社刊)など
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