日本一の駅ナカスイーツ専門店めざす!「SWEETS BOX」の魅力とは何か?
商品陳列から販促支援まで伴走
週替わりの出店形態は、出店者にとってもメリットがある。百貨店やショッピングセンターでの出店と比較して短期間で出店でき、初期費用も抑えられる。駅から距離のある店や、知名度を高めたい小規模店にとって、駅ナカという好立地で低リスクに自社商品をアピールできる絶好の機会といえる。
一方で、商品配送や販促面で苦労する出店者も少なくない。そこで京阪ザ・ストアは、商品の陳列方法や販売促進に関するアドバイス、売上データの分析に基づいた改善提案など、出店者への支援提供を徹底している。単なる場所貸しではなく、売上を伸ばすべく出店者に伴走する点が、「SWEETS BOX」の最大の特徴であり、成功の要因といえよう。
「SWEETS BOX」の出店スケジュールについて大額氏は、「トレンドや季節感を意識しながら、年間を通してバランスの取れた店舗展開を心がけている」という。出店者の選定基準は、京阪ザ・ストアがこれまで蓄積してきた「目利き」に依るところが大きい。同氏によると、駅を利用する幅広い年齢層に訴求できる商品力、比較的手の届きやすい価格帯、週に複数回利用したくなるような豊富な商品展開・企画力といった要素を重視しているという。
また、出店者には必要なショーケースやストック用スペースが用意され、フルラインアップを揃えられる店舗環境が提供されている。さらに、釣銭管理やゴミ処理といった運営面のサポートを一括して提供している。
これに対して、一般的な催事スペースでは、設備が簡素なため、出店できるブランドや業態が限られてしまうことが多い。「駅ナカという立地条件の良さに加えて、充実した環境が整っていることで、テナントの誘致が容易になっている」と大額氏は説明する。
1号店の出店以来、伸長を続けている「SWEETS BOX」事業だが、商品価格の高騰と節約志向の高まりによるマイナスの影響は否定できない。しかし、消費マインドが低迷しているときこそ、日常にささやかな贅沢をもたらしてくれるスイーツの存在意義があるという。「おいしいもの、甘いものの魅力には、抗いがたいものがある」(大額氏)。引き続き、出店者と共に、商品の求めやすさや豊富なラインアップを充実させたい考えだ。
近年は、デジタル技術を活用した取り組みも強化している。従来はアナログで行っていた業務に、AI-OCRを用いた自動確認やRPA(人間の業務をAIやルールエンジンで自動化する技術のこと)による売上データの自動集計などを導入し、デジタル化することで、業務効率化やデータ分析が可能となった。50店舗達成を目前に、運営体制にも磨きがかかっている。100店舗の出店を見据える大額氏は、「今後は関東エリアを重点的に強化したい。日本一の駅ナカスイーツ専門店をめざす」と意気込んだ。