手作りにこだわる老舗ベーカリーチェーンが”冷凍パン”で狙う業界革新とは
専用オーブンの開発は20年越しの悲願
冷凍パンへの参入は、同社の歴史でも大きなチャレンジといえるが、ここ数年はさらに踏み込んだ展開を進めている。冷凍パンの技術を最大化するためのハードの開発だ。
「マイウェイオーブン」がそれだ。遠赤外線、マイクロ波、スチーム、圧力を組み合わせたオーブンで、2023年8月に国内特許を取得している。「フローズンブレッド」を-18℃の冷凍庫から出してすぐに「マイウェイオーブン」で3~4分焼成することで、通常のベーカリーオーブンで焼成したものと変わらない状態で焼き上げる。
構想から20年。試行錯誤の末に完成したフローズンブレッドとマイウェイオーブンによる解凍技術は、手作りで現在地に辿り着いた同社も自信を持ってお墨付きを与えられるクオリティという。
2023年3月には、同技術を投入した新コンセプト店「Frozen Fresh POMPADOUR(フローズンフレッシュポンパドウル)」を新宿マルイ本館に開店。同店舗でどんなスタイルで提供されているかをみれば、その革新性が鮮明になる。
工房の代わりに専用オーブンを備える同店には、常温のパンのほか、冷凍庫に陳列した「フローズンブレッド」も並ぶ。常温パンを買うもよし、フローズンブレッドを購入し、そのまま持ち帰るもよし。常温パンが売り切れの場合は、注文後にマイウェイオーブンで温めてもらい、焼き立てを提供してもらうもよし。同店では同社の品質を損なわないパンを確実に購入できる。