ファーストキッチンとのダブルネームで売上3割増!ウェンディーズの復活劇

2024/10/02 05:59
吉牟田祐司
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ダブルネーム店舗で売上は前年比3割増に

ウェンディーズ・ファーストキッチン赤坂見附店
ウェンディーズ・ファーストキッチン赤坂見附店

 ウェンディーズ・ファーストキッチンのメニューを見ると、「ウェンディーズバーガーUSA」や「ベーコネーターUSA」のように、商品名の後ろに「USA」と付いているハンバーガーがある。これが米国とレシピが同じ商品で、例えば「ウェンディーズバーガーUSA」は現地ではウェンディーズの創設者であるデイブ・トーマスの名前にちなんで「デイブズシングル」と呼ばれる。

ウェンディーズバーガーUSA
ウェンディーズバーガーUSA

「現地と同じレシピの商品は食材を変えられない。しかし『USA』と付いていない商品は、日本で開発されたメニューで、とくに期間限定商品などは柔軟にアレンジできる。例えば菓子メーカーなどは、原材料が高騰した場合などの対策として、商品価格を上げるか内容量を減らして利益を確保することが多い。ところが私たちには今、単純に値上げをするのではなく、内容を変えて、お客さまにしっかりと価値を提供しながら、利益を出していける余地が生まれている」(紫関社長)

  ファーストキッチンの店舗がウェンディーズ・ファーストキッチンのダブルネーム店舗に転換し、もっとも大きく変わったのがハンバーガーで、ビーフパティが丸型から四角になった。これは創設者の口癖「don’t cut corners」(角をカットしない→手抜きをしない)にちなんだもので、ウェンディーズの品質へのこだわりを象徴している。ファーストキッチンで創業当時から提供されてきた人気メニューのベーコンエッグバーカーは「ウェンディーズベーコンエッグバーガー」にグレードアップした。

  パスタ、サイドメニュー、ポテト、デザートなどの商品カテゴリーに並ぶのは、ファーストキッチンで以前から提供していたメニューだ。ご存じの方も多いと思うが、ファーストキッチンは女性に強く支持されてきたファーストフードチェーンである。それが本場と変わらないボリュームのハンバーガーを提供するようになって、男性の来店客も増えた。そしてオーダーされるハンバーガーの割合が高まり、客単価と売上が向上したという。

 「ファーストキッチンがウェンディーズ・ファーストキッチンに変わって、多くの店舗で売上は前年比3割増になり、5割増、倍増した店舗もあった。ハンバーガーで客単価と売上が上がり、客層も広がった。それがダブルネーム店舗への転換で得られた大きなメリット」(紫関社長)

  とはいえ、ファーストキッチン自体、1977年に誕生し、45年以上の歴史を築いてきたブランド。日本発のファーストフードチェーンとして認知され、オレンジ色のイメージカラーが市場に定着していた。それを変えることに抵抗はなかったのだろうか。

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