手間をかけず、技術職人要らず 人手不足のなか、進化する外食業界の最先端
店舗運営の効率化の策次々に
冷凍技術は例年進化して店舗の生産性効率アップにつながっている。独自の冷凍技術を提案しているのがテクニカン(横浜市)。同社が開発した凍結機「凍眠」は農水産などの第一産業から外食・中食、医療分野まで、冷凍の常識を変えている。一般に普及しているエアブラストという冷却方法だが、凍結に時間がかかり、冷凍ムラや冷凍焼けが生じやすいといわれる。解凍後、食材の味や品質が落ちたりするケースもある。
一方、「凍眠」は、真空パックした食材を液体急速凍結(リキッド凍結)している。通常冷凍の約20分の1の時間で凍結できる。ドリップがほとんど発生せず、うまみ成分が食材から流出しないため、食感も変わらない。肉や魚、野菜を始め、調理済み食品、日本酒など、今まで冷凍が難しかった食材も凍結可能にしている。しかも、店舗レベルで凍結できる仕様(サイズは幅500ミリ、奥行き480ミリ、高さ805ミリ)になっている。
同社の新機軸といえば、昨年8月、伊藤忠食品と業務提携を結び、共同で冷凍食品ブランド「凍眠市場(とうみんいちば)」を打ち上げている。余剰食材を冷凍するだけでなく、旬で安くなる食材を液体急速凍結で、原料費削減や廃棄ロスによる店舗の生産性アップを狙っている。
スマホ時代に対応した店舗のモバイルオーダーサービス「O:der〈オーダー〉」を提供するのがShowcase Gig(ショーケース・ギグ、東京都港区)である。ホール業務の人員不足と課題改善に効果を発揮するシステムである。お客が自身のスマートフォンで注文と会計を行うサービス「SelfU(セルフ)」である。同社の営業本部の田端諒氏は「お客が楽しみながら、じっくり注文ができます。調理場ではプリンタから出力された調理伝票を見て調理が始まります」という。
展示会を回ってみての感想は、人手不足を補うために、店舗の業務アップのサポートの策を打ち出すのが目立っている。食材一つにしても、手間をかけない、職人技術不要の食材提供など。また、スマホ対応の新システムが登場するなど、店舗運営の効率化のサポート策が目立ち始めている。