再ブレイクするか!?都内でひそかに復活した「東京チカラめし」

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国産牛の使用や「二毛作」業態化を模索

 東京チカラめしはお客だけでなく、社内にも思い入れの強いメンバーが多数いる業態だった。だからこそ新規出店における社内の意見を一致させることは難しかったという。

 そうした中、復活1号店として「食堂」をオープンした同業態における今後の戦略について、小川氏は「まずは東京チカラめし食堂で、『チカラめしモデル』を作りたい。10年前と比べ牛肉の価格も大きく変わっている。その点も踏まえ、本食堂でリブランディングできればと思っている」と語り、今後1年以内に運営オペレーションを確立し、再出店に向けた足がかりとしたい考えだ。

 同社はリブランディングの方向性として、第一に、これまで統一されてこなかった「焼き方」を、初期から採用されている調理方法であるスチームコンベクションによる肉の焼き付けに絞ることを決定している。

 材料については、タレ、国産米の使用を継続しながら、これまで採用してきた米国産牛肉の使用について、他の商材も含めて転換も検討している。

「東京チカラめし」の牛丼

 また「チカラめし商品のみの一極集中のブランディングではなく、付加価値をどこに付け、お客さまにどのように伝え、価値を提案するのかを検討していく」と小川氏が述べているように、季節限定商品の開発やテイクアウトサービスの拡大、地域活性化を目的としたイベントの企画、同社の他業態との商品コラボレーションなどさまざまな可能性を視野に入れ、検討中だという。

「食堂」の多店舗化は慎重に検討

 コロナ禍が明け、外食産業の業績も回復基調にある中、同社は246月期に各業態合計で17店を新規出店した。しかし「東京チカラめし」の新規出店については慎重な姿勢だ。

執行役員開発部部長の小川直樹氏

 「チカラめしブランドの価値は何かを考えていくことが次の仕事だと思っている。チカラめしのブランドを通じて、当社が水産業など一次産業への取り組みなどで感じたことも、業態を通じて発信していくことが私の役目なのかと思っている。そこを語れるようになれば出店機会が出てくるだろう」と小川氏。直近では、直営・フランチャイズ共に新規出店の計画はないという。材料費や水道光熱費のみならず、地代も含めた価格の高騰に対応していくために、業態や商品の付加価値について議論を継続する考えだ。

 コロナ禍を経て、新しい環境下での東京チカラめしの在り方を同社が追求・再構築し、新店として展開されるチカラめしがどのように進化するのか注目していきたい。

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