日本市場縮小のなか、強みを発揮できるビームスらしい海外戦略とは

2024/06/04 05:58
油浅健一
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セレクトショップとして植え付けられた遺伝子

BEAMS JAPAN
〈BEAMS BOY〉と同会場で展示された〈BEAMS JAPAN〉

 1976年に創業したビームスは、モノやコトをボーダレスに日本に紹介。店舗ではアイテムを通して、各国の文化的背景や魅力を知るきっかけを与え、顧客のライフスタイルを豊かにしてきたという自負がある。近年では、アパレルだけでなく、BEAMS JAPAN事業を通じた地域活性化などもあり、風俗や文化への影響も意識した取り組みが、同社の遺伝子には組み込まれている。

 2013年に現地一号店を出店し、現在直営9店舗を運営する台湾は、そうしたビームスのイズムが最も反映された海外進出事例といえる。2023年には同国のファッション感度の高まりを受けビームスのさまざまなスタイルを求めるようになった顧客へ向けて、温暖な気候下では需要が少ないと言われてきたスーツやジャケットを展開する店舗をオープンさせた。それは、単にその国に新たなファッションアイテムを流入させるにとどまらない、文化にまで影響を及ぼす一歩も二歩も踏み込んだアクションといえる。

 「セレクトショップとしての強みや、ビームスの出自、考え方、『文化をつくるんだ』という想いで言えば、台湾が最もカルチャーメイキングできている場所になっていると思う。現地法人を設立し、自社スタッフが顧客のライフスタイルに影響を与え着実にレーベル展開を増やしている。ビームスの多面性を表現できて、コミュニティもできていると考えると、台湾の姿が今後各国に求められるのだろうと感じている」(戸田氏)

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