2023年に開業したショッピングセンター(SC)は34カ所となる一方、閉店等SCが38カ所となり、差し引き4カ所純減し、全国のSC総数は3,129カ所となった。国内SC数は2018年をピークに5年連続の減少、右肩上がりだった成長に陰りが見えてきた。では、2023年度に開業したSCの状況はどのようなものとなったのか、報告したい。
SCのカウント基準
SC数をカウントするために(一社)日本SC協会では、次のように「定義」と「取り扱い基準」を定めている。
SCの定義:ショッピングセンターとは、1つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体で、駐車場を備えるものをいう。その立地、規模、構成に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担うものである。
SC取り扱い基準:SCは、ディベロッパーにより計画、開発されるものであり次の条件を備えることを必要とする。
- 小売業の店舗面積は、1,500㎡以上であること。
- キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。
- キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。ただし、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1500㎡以上である場合にはこの限りではない。
- テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。
この「SCの定義」と「SC取り扱い基準」の2つを満たすことが基準となる。注意したいこととして「コミュニティ施設」と規定されている点だ。これはSCが単に買い物の場所としてだけでなく、市民生活を支える機能をも備えることを明示する。
その一方、SC取り扱い基準と規定されている、「駐車場を備える」「テナント会があること」「共同販促を行うこと」「小売業の面積が1500㎡以上」などは近年の開発傾向とは違和感もあるが、基準を変更するとなると、過去にさかのぼって修正しないと比較もできなくなるためそう簡単ではない。
開業数を上回る「閉鎖等SC」
2023年開業したSC数は34カ所(図表1)、閉鎖等SCは38カ所(図表2)であり、総数は3,129カ所(図表3)となった。
ここで言う「閉鎖等」とは、閉鎖や閉店や解体だけでなく、商業施設から他用途への転用や小売面積の減少など前項の規定から外れたものも含む。近年閉鎖等が増える要因はECの台頭や競合施設の登場の他、高度経済成長期に建設された施設が今、建て替え時期にあり、それも増加要因である。
開業立地と開業SCの面積
2023年に開業した34か所のうち、関東甲信越で14か所、近畿の6か所と合わせると6割が大都市圏となる(図表4)。個人消費を狙う業種である限り、人口集中エリアに多く開発される。この傾向は
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