スーパーの対応待ったなし!オリンピック以降、国内農産物の認証取得が激増する!?
持続可能な農業、漁業を目的とする「JGAP」や「MSC」といった各種認証制度だが、一般消費者にはいまだ浸透していないのが実情だ。それゆえ積極的に認証商品を取り扱おうという小売業者は少数派だ。だがそんな流れも、2020年に開催される東京オリンピックを契機に大きく変わりそうだ。食品の調達基準の国際標準が広く知られることになりそうだからだ。
(本稿は、国内の農業ビジネスに関連した、最先端の技術や製品を展示する「アグロ・イノベーション2019」で行われたセミナー「2020年を契機とした食品事業者への役割期待」(コーディネーター:内閣官房 東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局 企画・推進統括官 勝野 美江氏、スピーカー:エームサービス執行役員 紅林利弥氏)取材をベースとしています)
オリンピック村の食事は、多様性とサステナブルがキーワード
このセミナーでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催による、食品事業者への影響と、20年以降、どのような変化が期待されるのか、といったことが語られた。ちなみにエームサービスは、東京オリンピック・パラリンピックの選手村で提供する料理を一手に受託している給食事業者だ。以下では、とくに20年以降の食品事業者の役割に意識して、セミナーの要点を記していく。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催によって、世界中から、どれだけの選手、関係者、観客等が来日するのか。
「東京2020組織委員会」の想定では、選手およびチーム役員等が1万8200人(パラリンピック分8000人)、観客780万人(同230万人)、スタッフ16万8000人(同9万8000人)などとなっている。
インバウンドというと、その対応として「日本流のおもてなし」がある意味定番化してきている。しかし、純粋に日本への旅行を楽しみにしている人たちならともかく、オリンピックを目的に訪日する人たちがすべて、日本流のおもてなしを是としているかどうかはわからない。それに、選手村で提供される料理については、IOCによって細かく規定されており、素材として使用される食材にもさまざまな条件が設けられている。
たとえば選手村内で、24時間食事を提供する「メインダイニング」では、どの国・地域の選手でも平等に「金メダルが獲れる料理を提供し続ける」ことが求められる。開催国の伝統料理(今回でいえば和食)に限らず、西欧料理、アジア料理、アフリカ料理等を均等に提供するのがルールとなっている。「生もの」や「アルコール」はもちろんNGだ。多様性への尊重も不可欠であり、ハラール、ベジタリアン、グルテンフリーへの配慮も必要になる。2012年のロンドン大会以降は、大会全体を通して、サスティナブル(持続可能性への配慮)でなければいけないというルールも定着している。
さらに、東京の7月・8月といえば、気温が38度を超すことも珍しくはないから、食中毒への注意と、猛暑対策も重要になっているのは言うまでもない。