初の専門店も!「無印良品」がアパレル改革に成功した理由とは
「定番」「天然素材」「スタイリング」が3つの軸
素材の良さを最大限に引き出す商品開発にもより力を入れ、たとえば秋冬アイテムでも山本氏は「ウールはメリノウール一択ではなく、ヤクウールやハイランドウールといった、これまで採用してこなかった天然素材を自社内の開発チームが世界中から探し、地域の産業の活性化を図りながら商品化できないかと取り組んでいる」と言う。ダウンやスポーツラインのアイテムでポリエステルやナイロンなどを使用する場合も「再生可能で、回収後も地球環境に負荷をかけない素材の使用率を100%にしていく」という目標を掲げ、できるだけ早い段階での達成を目指している。
また、単品ごとの商品開発ではなく、スタイリングを意識して、トータルコーディネートが成立する品ぞろえを最初から計画して作っていく取り組みも進めていくという。定番の完成。天然素材の使用。スタイリングを意識した商品開発。この3つを軸にしていくことで「これから、生まれ変わった印象を持っていただけるくらい、ガラッと変わるのではないかと思っている」と山本氏は話す。
トレンドを意識はするものの、トレンドは追わない。ベーシックにこだわり、シンプルで、地球に優しく、デザインが良い。そういった商品の展開こそが無印良品らしさ。「私たちの目的は変わらず、生活のインフラになること」と山本氏。衣服に特化した店舗として初めてオープンした「無印良品 新宿靖国通り」は、2階、1階、MB階、B1階の4フロアで、B1階の「Café&Meal MUJI」を除いて商品はすべて衣類。年齢、性別、国籍を問わず服選びを楽しめる。
ネットストア限定の商品や全国の店舗に先駆けて先行販売されるアイテムも取り扱い、在庫のあるほぼすべての商品を購入できるネットストアに次ぐ衣服の品ぞろえを誇る。60体以上のマネキンがあり、VMD担当が暮らしのシーンに合わせたコーディネートを提案してくれる、まさに無印良品の最新の衣服がわかる空間だ。
良品計画では、店舗が出店する地域のコミュニティーセンターになることを目指し、「無印良品 新宿靖国通り」は「無印良品 新宿通り」とともに「無印良品 新宿」として、多様性に富んだエリアに根付いた展開をしていく。グローバルフラッグシップ店「無印良品 銀座」ともひと味違う顧客体験を味わえる店舗であり、その新しい試みが注目される。