賃料減額の交渉テクニック!必ず準備すべき事項とオーナーとの対話のコツ
本連載企画では、完全成果報酬型のコスト削減サービスを提供する経営コンサルティング会社プロレド・パートナーズが、過去1年間を振り返りコスト削減効果の高い間接費を紹介。コスト削減を実現するうえでの具体的なアプローチやポイントを、実際の削減事例を交えて解説する。連載第2回となる今号では、事業用不動産の賃料相場の動向を踏まえながら、賃料減額交渉において事前に準備すべき事項と、実際に交渉する際のテクニックを取り上げる。
コロナ禍前後の賃料相場の推移
コロナ禍を機に大きく市場相場が変動した費目の一つが「賃料」だ。ただし、物件タイプによって賃料相場のトレンドは大きく異なる(図表Ⓐを参照)。
コロナ禍で最も影響を受けたのは、都心部のオフィスおよびビルインの商業物件だ。2020年年初まで賃料は一貫して右肩上がりだったが、コロナ禍を境にオフィスの空室率が上昇し、ビルインの商業施設は来店者数の減少によって退店する店舗も相次いだ。その結果、賃料相場は一転して低下トレンドとなり、現時点で賃貸契約期間中だとしても賃料減額交渉の余地が多く残される状況となった。
地方のロードサイド店舗はコロナ禍前から賃料の見直し余地が大きく、一部の人気エリアや人口増加商圏を除き、賃料の低下トレンドが継続している。
ショッピングモールや百貨店では、コロナ禍の逆境下で来店客数の減少や退店も多く見られたが、賃料やレベニューシェア(複数企業が相互協力して事業を行い、収益を分配するビジネスモデル)などの契約内容の見直しは困難なままだ。直近ではコロナ規制の緩和やインバウンド需要の回復から、百貨店の業績も急回復しており、難易度は上がっている。
一方で物流拠点に関しては、コロナ禍によるEC利用の増加に伴い宅配需要は拡大している。物流量は右肩上がりに伸長し、ニーズが急速に高まっている物流拠点の賃料も見直しが難しく、むしろ現在の賃料水準をいかに維持できるかが重要だ。
賃料減額交渉の有効なアプローチ方法
では、現在契約中の物件の賃料をどのように見直せばいいのかを紹介する。