動画も音声も!世界初、早川書房「NFT電子書籍付」新書の新しい読書体験とは

2023/08/01 05:55
Pocket

早川書房の取り組みに注目する出版社が多数

早川書房執行役員
執行役員の山口晶氏

 書籍の著者の多くは、これまでテキスト情報のみで表現をしてきたはずだ。一方でNFT電子書籍は動画、音声、画像もセットで提供できるところが強みとなる。NFT電子書籍について著者はどのように受け止めているのだろうか。

 「新たな取り組みとなるが、総じてポジティブな意見をいただいている。著者や編集者の工夫次第で新たな読書体験がどんどん広がっていく」(山口氏)

 一方で、「NFT電子書籍付」のハヤカワ新書が今後活発に流通するかどうかは、出版業界全体の動きによるところも大きい。山口氏は「当社1社だけでNFT電子書籍を盛り上げていくのは難しい。『ハヤカワ新書』が良い事例となり、どんどん他社に参入してきてもらいたい」と意気込む。

 61日に開催したNFT電子書籍付き新書の記者発表会には、約120名が集まったが、内半数が出版社の参加であったことからも注目度が伺える。

 山口氏によれば、紙の書籍でページ数を増やすとなるとコストがかさむが、NFT電子書籍の特典として動画や音声、画像などの特典を付けてもさほどコストはかからないという。その上で、「NFT電子書籍への参入障壁は低い。しかも、これまで存在しなかったゼロからのマーケットであることから、市場が活発化すれば業界にとって大変明るい話題となる」と期待を込める。

 7月には4冊、8月には3冊の「NFT電子書籍付」の新書の発刊が予定されており、その後は各月で販売していく。

 「文字だけでなく映像を含めて出していこうと動いており、アーティストとのコラボレーションなどさまざまなアイディアも出てきている。新書という領域を超えて、SF小説にその作品が原作となっている映画を付けるなど、可能性は無限にある」(同)

 NFT電子書籍は、読者にとっても出版社や著者にとっても、新たな本の在り方を考える大きなきっかけとなりそうである。

1 2 3 4
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態