動画も音声も!世界初、早川書房「NFT電子書籍付」新書の新しい読書体験とは
二次流通が可能で取引のたびに利益が還元される
NFT電子書籍には、特典を通じて読者に新しい読書体験を楽しんでもらうだけでなく、ブロックチェーン技術を活用したNFTならではの大きな特徴がある。それは、「NFT電子書籍付」版の購入者はNFTという形で電子書籍を閲覧する権利を所有し、さらにその権利を自由に譲渡、売買できる点だ。
「これまで、紙の本は中古市場で活発に流通しているが、著者と出版社には何のメリットもなかった。一方、これまでの電子書籍は閲覧する権利をもっているだけで二次流通はできなかった。NFT電子書籍は、新たに電子書籍の二次売買という需要を形成できる」と山口氏が強調するとおり、これまで存在しなかった二次流通市場が誕生することとなる。
それだけではない。NFT電子書籍は、ブロックチェーンのスマートコントラクトという機能により、NFTマーケットプレイス「FanTop」上で売買されるたびに、あらかじめ設定した条件で出版社や著者に利益の一部が還元される仕組みとなっているのだ。
「当面は、著者、出版社、プラットフォームの三社で利益を分配するが、パートナーのメディアドゥはやがては販売した書店にも利益を還元し、書籍にかかわるステークホルダーすべてに分配し貢献していく方針と聞いている」(山口氏)
一方、一般的にNFTと聞くと投機目的と考えるケースが多く、二次流通のたびに取引価格が上がっていくイメージが強いが、「我々は投機目的ではなく穏やかなマーケットをつくることを考えている。NFTがもつ何となく難しいイメージや懸念されるリスクを取り除いて、今までとは違うNFTの二次流通市場をつくっていきたい」(同)
実際、同社の「NFT電子書籍付」版は、FanTop上で売買を行う以外に、「譲渡」を選択してプレゼントすることもできる。いずれの方法でも、二次流通市場で人の手に渡るたびに、所有者の情報がブロックチェーン上に記録されることとなる。